研究シーズ集

医療・健康・福祉

人は何を手がかりに「判断」をくだすのか ~ 倫理学と心理学の架橋的研究 ~

医学部 保健学科

宮坂研究室

医歯学系 教授

宮坂 道夫 MIYASAKA Michio

関連URL:
http://www.clg.niigata-u.ac.jp/~miyasaka

専門分野 生命倫理学、医療倫理学、看護倫理学、ナラティヴ・アプローチ
キーワード 意思決定、倫理原則、ナラティヴ・アプローチ、意思決定ツール

研究の目的、概要、期待される効果

 私はこれまで、医療現場で生じる倫理的問題についての意思決定のための方法論を探求してきました。倫理学と心理学にまたがる研究によって得られた成果が、原則・物語・手順という、人間が判断を下す際の3つの参照基準を用いるモデルです(図1)。「原則」とは、状況や背景事情に左右されない、汎用性の高い行為規範です。「物語」とは、個人や集団が事象に価値を見いだすための説明です。原則と物語はしばしば衝突を起こし、実際の判断・意思決定にはその調停が必要で、それを標準化するのが「手順」です。
 このようなモデルは、終末期医療の意思決定から、先端医療の法規制に至るまで、多くの複雑な意思決定に適用できました。2000年度から継続的に研究代表者として科学研究費補助金の助成を受け、意思決定のためのツール等を開発し、論文・図書として公表し、多くの人に利用されています(図2)。今後は、医療のテーマに限定せず、国や自治体の公共政策の策定、企業や民間団体での意思決定、さらには個人や小集団が行う判断にいたるまで、幅広いテーマに適用できるかどうかを検証したいと考えています。

図1 人間が判断を下す際の3つの参照基準

図2 研究の成果物としての図書等

   
関連する知的財産論文等

宮坂道夫: 医療倫理学の方法 - 原則・ナラティヴ・手順,第3版, 医学書院, 2016年

宮坂道夫ほか: 看護倫理,第2版, 医学書院, 2018年

Friedo Zoelzer, Gaston Meskens編, Ethics of Environmental Health, Routledge, 2017年

アピールポイント

 医療に限らず、現代社会は理系から文系の広い領域にまたがる学際的なアプローチを必要としています。本研究は意思決定をテーマにした学際的で実用的な研究です。

つながりたい分野

・医療機関、行政組織、企業や民間団体等で意思決定のあり方を見直し、新しいルールや意思決定手順を作りたいと考えているケースが想定されます。


お問い合わせは
新潟大学社会連携推進機構
ワンストップカウンター まで 
onestop@adm.niigata-u.ac.jp

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