研究シーズ集

人文社会科学

都市になるということ ~19世紀英国におけるLocal Actによる権限付与~

法学部

馬塲研究室

人文社会科学系 教授

馬塲 健 BABA Takeshi

関連URL:
https://researchmap.jp/read0062683

専門分野 行政学、地方自治、都市政策
キーワード Local Act、行政国家化現象、都市機能の適正規模

研究の目的、概要、期待される効果

 我々は、都市であるということを当然のこととして捉えていますが、では都市とは一体何かという問いに答えるのは容易ではありません。私が専門とする行政学の分野では、都市の機能に着目して、都市を捉えようとします。ただ、都市が持つ機能といってもそれこそ対象などによって様々で、その機能を提供するのに適正な規模も一様ではありません。
 それでは、このような都市の機能はどのようにして生まれてきたのでしょうか。そこで、現在進めている研究では、19世紀の英国で、地方に住む個人や団体が都市機能(公権力)を得るために国会に請願して成立した法律(Local Act)を例に取りながら、都市機能の拡大がどのように行われてきたのかを明らかにしようとしています。これは、とりもなおさずそれまで公権力を持たなかった場所が何らかの地方団体としての地位を得るという「都市になる」ということを明らかにすることに他なりません。さらに、当初は各地方の個人や団体がバラバラに国会に請願していたLocal Actがある時期を境にして減少し、代わって国会の側で標準化したメニュー(Clauses Consolidation Act)を提示するようになってきます。
 ここに、行政学でいうところの行政国家化現象の萌芽を見て取ることができます。このような研究を通して、都市をどうマネジメントしたらよいのかについてまとめられればと考えています。

『英国の大都市行政と都市政策1945-2000』、
 敬文堂(2012)、単著

1904年スウィンドン市が路面電車敷設権限のための
Local Act制定を国会に求めた請願文

   
関連する知的財産論文等

「Clauses Consolidation Act(条項統合的議会制定法)の制定と都市機能」『季刊 行政管理研究』第175号(2021.9.)

「19世紀後半から第一次世界大戦開戦までの、ロンドンを対象として制定された地方法(Local Act)とその制定に関係した事務弁護士(Solicitor)と議会代理人(Parliamentary Agent)」『法政理論』 48巻1号、121-236,(2015.9.)

アピールポイント

・区域と機能に関する個別的、一般的課題の把握
・行政国家化現象の実証的把握

つながりたい分野

・都市問題の発生と行政機能の拡大について関心のある自治体
・市町村合併に伴う区域と機能の齟齬に関心のある自治体


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新潟大学社会連携推進機構
ワンストップカウンター まで 
onestop@adm.niigata-u.ac.jp

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