農・食・バイオ
農学部 応用生命科学プログラム
三ツ井研究室
専門分野 | 応用分子細胞生物学、植物生化学、境界農学 |
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キーワード | イネ、αーアミラーゼ、デンプン代謝制御、新品種開発、バイオスティミュラント |
コメは、イネの完熟種子から籾を外したもので、主に胚乳という組織と、胚盤(胚芽)から構成されています。このうち胚乳は白米に相当する部分で、大量のデンプンが含まれています。イネの種子の発芽には、この胚乳に蓄えられたデンプンを分解し、発芽の際のエネルギーにする必要があります。一方で、イネの登熟には、胚乳におけるデンプンの蓄積が重要なポイントとなります。このようにデンプンの代謝のメカニズムの解明は、イネの健全な成長とともに、米の品質を維持・向上するうえで極めて重要な課題です。
地球温暖化による夏季の猛暑はイネの高温登熟障害を引き起こし、コメの品質低下が農業現場で
大きな問題になっています。これまで、イネにおけるデンプン代謝制御の研究を、生理・生化学的、および分子細胞生物学的手法を駆使して進め、デンプン分解酵素αーアミラーゼが分泌経路からプラスチドに輸送・局在化し、機能することを明らかにしました。この研究から、高温登熟によるコメ品質低下にαーアミラーゼが関与するという仮説が生まれ、そして検証しました(上図) 。現在、酒米も含め、高温ストレス耐性を有するイネ新品種の開発(下図)、並びに、高温ストレス耐性を付与するバイオスティミュラントの開発を行っています。
高温登熟による米粒白濁化メカニズム
コシヒカリ新潟大学NU1号成果報告記者会見(令和2年10月30日)
関連する知的財産論文等 | コシヒカリ新潟大学NU1号(品種登録番号:第27856号) The rice α-amylase glycoprotein is targeted from the Golgi apparatus through the secretory pathway to the plastids. Plant Cell 2009, 21: 2844–58, doi:10.1105/tpc.109.068288. |
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迅速な世代促進技術を駆使して、イネの新品種開発を進めるとともに、栽培技術、特に作物の有する能力を引き出すバイオスティミュラントを開発し、地域農業の振興に貢献します。
・新潟のコメ(特に、コシヒカリ、酒米等)に関係する産学官のすべての分野