研究シーズ集

人文社会科学

シベリア少数民族言語の現地調査 ~ 歴史的空白の解明と言語類型論への展開 ~

人文学部 言語文化学プログラム

言語学研究室

人文社会科学系 教授

江畑 冬生 EBATA Fuyuki

専門分野 言語学、記述言語学、言語類型論、対照言語学、チュルク諸語
キーワード シベリア、現地調査、先住民、少数民族、言語接触

研究の目的、概要、期待される効果

 日本の真北に位置するシベリアには、約30の先住民諸語が分布しています。この中には歴史的系統が不明の孤立言語も含まれています。先住民諸語の多くは話者数が1万人に満たない少数言語であり、消滅の危機に瀕しています。
 私はシベリアで話される2つの言語(サハ語とトゥバ語)の文法構造を、直接現地に赴きながら調査研究しています。両言語は遠い昔には共通の祖先に遡る同系言語ですが、言語特徴には大きな相違点も見られます。研究を進めるうち、サハ語が周囲の非同系言語との言語接触を繰り返しながら文法構造を変容させてきた歴史的過程の一端が明らかになってきました。さらには、両言語には言語類型論的に特異な現象が豊富に見られることも分かってきました。
 本研究は、シベリアと周辺地域での言語研究を専門とする10名の研究者が、系統関係と類型的特徴が異なる言語同士が相互接触を繰り返して現在の姿に至るまでの歴史的過程を解明することを目指しています。特に、十分な言語資料が残っていない時期を含む歴史的変遷を実証的に捉えながら、現在および過去のシベリア先住民諸語の言語類型論的な特異性に焦点をあてた研究を行います。

シベリアと周辺地域に分布する少数民族言語

   
関連する知的財産論文等

Agglutinativeness, Polysynthesis, and Syntactic Derivation in Northeastern Eurasian Languages. Northern language studies. Vol.10, 1-16. 2020.

『サハ語文法 : 統語的派生と言語類型論的特異性』 2020年 勉誠出版.

アピールポイント

 シベリアで話される「小さな」言語の仕組みを調べることで、日本語などの「大きな」言語の構造が見えやすくなることがあります。複数の言語を比較対照する視点も重視しています。

つながりたい分野

・シベリアと周辺諸地域の言語・民族・文化
・言語学と語学教育を通じた異文化理解


お問い合わせは
新潟大学社会連携推進機構
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onestop@adm.niigata-u.ac.jp

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