研究シーズ集

人文社会科学

中近世ドイツの平民の政治・司法参加 ~ 魔女裁判・請願・コミュニケーション ~

教育学部

外国史研究室

人文社会科学系 准教授

小林 繁子 KOBAYASHI Shigeko

関連URL:
http://witch.jp.net/

専門分野 ドイツ近世史、法制史、魔女迫害史、文化史
キーワード 魔女、近世ドイツ、都市史、請願、印刷メディア、ポリツァイ、コミュニケーション、刑事司法

研究の目的、概要、期待される効果

 私は16~17世紀にかけてヨーロッパ、とくにドイツ地域で起こった魔女迫害の歴史を研究しています。日本でもアニメ作品などに取り上げられる「魔女」ですが、それに対して実際に「裁判」という公的制度を用いて迫害が行われていたことはあまり知られていないかもしれません。ドイツのほとんどの町には多かれ少なかれ魔女裁判の歴史があります。当時から印刷物を介して魔女イメージが広がっていきました。
 最近では、平民から寄せられた「請願」の史料を用いて、どのようにして平民たちが公的な枠組みに参与しようとしたのかを考えています。魔女を排除したい人々は裁判を行うよう当局に圧力をかけ、魔女の罪を着せられた人々は帝国の裁判所など別の回路からの助力を求めました。魔女裁判をめぐる様々な立場からの多様なコミュニケーション回路を分析することで、支配―被支配という一方的な関係ではない秩序の在り方が見えてきます。魔女迫害というと遠い世界の出来事のようですが、今日でもいかに自分の声を司法や行政に届けていくのか、社会をともに形成する責任ある市民の在り方を考えるうえで、参考にできることがあるはずです。

魔女狩りを扱ったTV番組の制作に協力しました

風光明媚なライン・モーゼル地域は魔女迫害の中心地のひとつ

   
関連する知的財産論文等

『近世ドイツの魔女裁判-民衆世界と支配権力』(ミネルヴァ書房、2015年)

「魔女は特別犯罪かー近世ドイツにおける犯罪と拷問」『思想』1125号(2016)

「魔女が集う山-ブロッケン山」『ドイツ文化事典』(丸善出版、2020年)

アピールポイント

 ドイツはじめヨーロッパでのちょっと変わったツーリズムを考えるヒントになるかもしれません。ヨーロッパ史を意外な角度から考えていきます。

つながりたい分野

・政治・司法参加の意味を違った角度から考えてみたい地方自治体、学校
・観光業・創作コンテンツ・デザインのための歴史資料を求めている企業


お問い合わせは
新潟大学社会連携推進機構
ワンストップカウンター まで 
onestop@adm.niigata-u.ac.jp

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