共通・他の領域
工学部 協創経営プログラム
白川研究室
専門分野 | 経営学、技術経営論、イノベーション論、社会システム工学、政策科学 |
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キーワード | 中期経営計画、技術予測、ロードマップ、科学技術政策、評価 |
未来洞察とは、組織が将来を予期し対処する組織能力を構築するための活動です。技術予測やフォーサイト、ロードマップ、シナリオといったものがその例です。未来洞察の方法論は、企業における中期経営計画や行政における長期計画など、幅広い分野の計画立案や評価を行う実務で自然に使われ、日本では科学研究の対象とはみなされてはいません。
ただ世界では、経営コンサルティングを中心に行政計画や評価とも関連し、学術的な研究とともに世界でこうした未来を切り開くことを志向する人々のネットワークがあります。先進国及び発展途上国を問わず能力構築、人材開発が進められ、組織や国などがリーダシップを発揮する上で、重要な資質です。
未来洞察では、目的に応じて、シュミュレーションなど自然科学の方法論から、論文分析などのデータ分析、さらにSF小説のような人文科学まで活用されます。このように、未来洞察とは経営学のイノベーション論、マーケティング、技術経営論やデザイン学、公共政策政策科学の評価論、科学技術政策など、さまざま分野の研究者・実務者が関わり合う学際融合の研究領域です。
このため、当研究室では、分析の方法論も、情報学的な分析から、社会科学の方法論も取り込みながら、学際的なアプローチにより研究をすすめています。また、対象も企業経営のみならず公共経営及び公共政策も含めた組織とイノベーションのためのエコシステム全体を視野に入れて研究活動をしています。
未来洞察の中からは、シナリオ分析により、不確実な将来の振れ幅を予期することで、企業の経営課題に事前に対処したりすることができます。
この有名な事例が、オイルショックを事前に予期していた多国籍企業の石油会社ロイヤルダッチシェルです。同社はその後もシナリオ分析を継続し、石油会社でありながらいち早く再生可能エネルギーに大規模な投資を行うなど経営上の先手を打ってきました。
一方、行政においては、多様なステークホルダーを政策形成過程に包摂することで、合意しにくい内容の事象であっても、未来を起点に問題解決を共有して考えるプロセスを経ることを通じ、利害対立を乗り越え、未来を共創していく、ガバナンス上の利害調整効果があります。
関連する知的財産論文等 | 科学技術予測調査手法に関する数理的分析:デルファイ調査及びリアルタイム・デルファイ法に関するエージェントシミュレーション 白川 展之, 小柴 等 研究 技術 計画 33(2) 170-183 2018年 |
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国の試験研究機関や国立研究開発法人で、技術予測、技術ロードマップなど、技術戦略の策定やそのための調査体制の仕組みづくりなど、技術経営の実務経験が豊富な実務家教員です。
・企業組織において、中期経営計画、経営企画と科学技術、更には社会のイノベーションを結びつける新サービス。事業企画に悩む民間企業及び公的機関・法人等との連携を希望します。