研究シーズ集

ナノテクノロジー・材料

魚コラーゲン製口腔粘膜欠損修復材の開発 ~ 表面のパターン化による上皮化促進 ~

歯学部

生体組織再生工学分野

医歯学系 教授・医歯学系 特任助教

泉 健次・鈴木 絢子 IZUMI Kenji・SUZUKI Ayako

関連URL:
https://www.niigata-u.ac.jp/news/2020/81111/

専門分野 再生医学、細胞生物学
キーワード 生体模倣、口腔粘膜、魚うろこコラーゲン、樹脂製鋳型、ステンレス製鋳型

研究の目的、概要、期待される効果

 口の中(歯ぐき、口腔粘膜)には、がん、先天性疾患やインプラントなどの治療の目的で、組織欠損(組織を寄せるだけでは縫い合わせられない創)ができることが少なくありません。自家口腔粘膜移植が標準的ですが、新たな傷ができることが課題です。自家組織に替わる新たな人工生体材料の開発は、患者や医療従事者が直面する問題解決になりますが、口の中の組織を治す目的で開発された生体移植材はありません。
 本研究ではこの課題解決のため、バイオミメティクスの観点からヒト口腔粘膜固有の結合組織乳頭を模したマイクロパターン(波型)構造(図1)を、早稲田大学ナノライフ創新研究機構、多木化学株式会社、株式会社小松精機工作所、株式会社ナノ・グレインズ、との共同研究により、安心、安全、安価な材料である魚うろこ由来コラーゲン製足場材に反映させる技術を共同開発し、表面をマイクロパターン化した移植材の作製に成功しました(図2)。
 このマイクロパターン構造の効果は培養細胞を用いて検証済みですが、生体模倣したマイクロパターン構造が早期に上皮化と創傷治癒を促進するという仮説に対する医学的検証を大型動物を用いて推進中です。
 この技術基盤を元に、様々なヒトの組織構造に模したマイクロパターンを作成し、皮膚をはじめとした様々な上皮組織への展開が可能です。臨床応用だけでなく、ヒトや動物の上皮組織幹細胞などのインビトロ研究用材料としての提供、応用も視野に入れています。

   
関連する知的財産論文等

マイクロパターン化コラーゲンゲル作製用ステンレス製モールド(特願2021-054133)

線維化コラーゲンゲル作製用鋳型材料 (特願2018-145182、特開2020-019627)

Suebsamarn, O, Suzuki A, Izumi K, et al. Heliyon, Volume 8, Issue 11, e11468, 2022.

Suzuki A, Izumi K, et al. Sci Rep. 10(1): 2219231, 2020.

アピールポイント

 本研究はミクロンレベルの波型バターンをコラーゲンシート表面に付与する技術開発から、製品を供給する体制まで具体化しています。
 また、様々なパターン形状、パターンのサイズに対応可能です。 

つながりたい分野

・本製品を用いた基礎研究や、臨床応用に興味のある企業。
・製品の滅菌処理を一括して行える企業。
・パターン化したコラーゲン表面へ“上皮基底膜”成分を構成させる技術を持つ企業。


お問い合わせは
新潟大学社会連携推進機構
ワンストップカウンター まで 
onestop@adm.niigata-u.ac.jp

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