医療・健康・福祉
歯学部
予防歯科学分野
専門分野 | 予防歯科学、公衆衛生学、疫学 |
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キーワード | 唾液タンパク質、唾液ムチン(MUC7)、抗菌性、シアル酸 |
病原体にとっての最初の関門が口腔であり、口腔には自然免疫が備わっています。唾液には自然免疫の役割を果たす成分が含まれていますが、加齢に伴ってその防御機能は低下し、感染症に罹患しやすくなります。高齢者にとって誤嚥性肺炎は死に直結しており、その予防は大変重要です。
当研究は主要唾液タンパク質である唾液ムチン(MUC7、MUC5B)に着目しました(表1、図1)。我々の予備実験から以下を明らかにしました(図2)。
・ MUC7の抗菌性部位は10-20分程度の短時間で分解する
・ MUC7に含まれるシアル酸分解によって、抗菌性部位がより速く分解する
MUC7は、唾液中に最も多く含まれる主要唾液タンパク質のひとつです。したがってその変化が口腔全体に与える影響は大きいと考えられます。本研究では抗菌性を持つMUC7の応用によって、高齢者の誤嚥性肺炎予防だけでなく、口臭予防など幅広い世代を対象にオーラルケア強化を目的とした製品への応用を目指します。
関連する知的財産論文等 | ・Degradation of MUC7and MUC5B in human saliva. PLoS One. 8(7): e69059. doi:10.1371/journal.pone.0069059, 2013. ・Relationship between oral malodor and glycosylated salivary proteins, J Med Dental Sci, 57:25-33, 2010. |
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・唾液タンパク質に着目したオーラルケアはこれまでになく、新規性の高い研究です。
・筆者は口臭研究の実績もあり、口臭予防への応用も視野に入れています。
・口腔ケア用品、口腔保湿剤、口臭予防製品を開発している企業様などと協働できればと期待しています。