研究シーズ集

医療・健康・福祉

In situ デンタルバイオフィルムの解析により、むし歯や歯周病の制御を目指す

歯学部

う蝕学分野

医歯学系 助教・医歯学系 教授

外園 真規・野杁 由一郎  SOTOZONO Maki・NOIRI Yuichiro

関連URL:
https://www5.dent.niigata-u.ac.jp/~restend/restend.html

専門分野 保存修復学、歯内療法学、口腔バイオフィルム、細菌叢、デンタルバイオフィルム
キーワード 口腔バイオフィルム、デンタルバイオフィルム、口腔細菌叢、in situ デンタルバイオフィルムモデル、16S rRNA

研究の目的、概要、期待される効果

 口腔細菌により歯面に形成されるデンタルバイオフィルムは、世界的に罹患者の多い慢性感染性疾患であるう蝕や歯周病といった口腔感染症の原因であると考えられています。さらに、口腔細菌叢(微生物の集合)のバランスの崩れ(dysbiosis)がう蝕および歯周病の発症に関わるとされています。従って、口腔感染症の予防のためには口腔バイオフィルムやその細菌叢を理解し、制御することが重要です。
 就寝前に歯磨きをすることが重要であるという考え方が広く浸透していますが、この根拠は唾液中の細菌数は睡眠中に急激に増加し、起床時に最も多くなるという古典的な報告です。しかし、これはデンタルバイオフィルムを評価したものではありません。
 そこで、当教室のin situデンタルバイオフィルムモデル(図1)を用いて、睡眠中と日中に形成されるデンタルバイオフィルムを比較すると、単位面積当たりのバイオフィルム中に含まれる細菌の量に差はありませんでした。しかし、16S rRNA解析によりFusobacterium属やPrevotella属といった偏性嫌気性細菌の割合が睡眠中に形成されるバイオフィルムで高くなることが明らかとなりました(図2)。このモデルを用いてデンタルバイオフィルムの実態を理解することで効果的な口腔ケアの確立、疾患の予防及び治療法の確立に近づくと考えています。

   
関連する知的財産論文等

Sotozono M et al. Impacts of sleep on the characteristics of dental biofilm. Sci Rep. 2021

Sotozono M et al. Impact of sleep on the microbiome of oral biofilms. PLoS One. 2021

Klanliang K et al. An extensive description of the microbiological effects of silver diamine fluoride on dental biofilms using an oral in situ model.Sci Rep. 2022

外園真紀, 野杁由一郎他:試作全自動歯ブラシによるデンタルバイオフィルム除去効果.日本ヘルスケア歯科学会誌 23(1): 47-56, 2022.

アピールポイント

 当教室のin situモデルの利点は①口腔内で実験的バイオフィルムを作製、②バイオフィルムの構造を壊さずに採取、③単位面積当たりのバイオフィルム量を測定できることです。

つながりたい分野

・口腔ケア用品の開発に関わっている企業や研究者の方
・細菌叢解析による疾病の病態/病因解明に興味のある研究者・企業の方


お問い合わせは
新潟大学社会連携推進機構
ワンストップカウンター まで 
onestop@adm.niigata-u.ac.jp

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