研究シーズ集

医療・健康・福祉

がん治療を支える口腔ケア ~ 口腔粘膜炎に対する新たな治療法の開発 ~

歯学部

顎顔面口腔外科学分野

医歯学系 教授

冨原 圭 TOMIHARA Kei

関連URL:
https://www.dent.niigata-u.ac.jp/surgery2/staff/

専門分野 口腔外科学、臨床腫瘍学、腫瘍免疫学、分子生物学
キーワード がん治療、がん化学療法、口腔粘膜炎、療養生活、口腔ケア

研究の目的、概要、期待される効果

 がんは、我が国において約2人に1人が罹患し、超高齢社会を迎えその数はさらに増加の一途をたどります。診断や治療の進歩によって、がんと診断されても多くの人が回復する時代となり、より質の高い療養生活が望まれますが、がん治療におけるさまざまな副作用のうち、特に、がん化学療法によって発生する口腔粘膜炎は、症状が重篤化するとがん治療の休止を余儀なくされるほど深刻な有害事象であり、治療の完遂のためにも口腔ケアはきわめて重要です。
われわれの研究室では、がん化学療法によって発生する口腔粘膜炎予防に有効な治療法の開発を目指し研究を行っております。各種のがんに広く用いられている抗がん剤のシスプラチンは、がん細胞のDNAと結合してその複製を妨げ、がん細胞の分裂や増殖を抑制する働きがあります。その際に産生される活性酸素種は、上皮細胞や線維芽細胞などの正常細胞も傷害するため口腔粘膜炎を発症すると考えられています。このようながん化学療法における粘膜炎発生のメカニズムに着目し、活性酸素種を除去する作用が知られているアスタキサンチンを用いた口腔粘膜炎予防の効果について研究を行っております。現在、様々な医療分野において応用が期待されているアスタキサンチンですが、本研究では特に、がん化学療法によってダメージを受けた口腔粘膜の組織修復における効果として、組織修復過程に重要な線維芽細胞や上皮細胞に対する直接的な作用を解析し、口腔粘膜炎に対する予防薬としての可能性を検証しております。

   
関連する知的財産論文等

Astaxanthin ameliorates cisplatin-induced damage in normal human fibroblasts.Yamaguchi Y et al. Oral Science International. 2019

アピールポイント

 多様化するがん治療において、ますます重要となる口腔ケアですが、口腔粘膜炎に対する新規治療戦略の開発は、がん治療における療養生活の改善に大いに貢献するものと期待しております。

つながりたい分野

・製薬会社、医薬品メーカーなど、がん治療のサポート事業に関心のある企業とのコラボレーションを模索しております。


お問い合わせは
新潟大学社会連携推進機構
ワンストップカウンター まで 
onestop@adm.niigata-u.ac.jp

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