農・食・バイオ
創生学部
小路研究室(昆虫生態学)
専門分野 | 生態学 |
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キーワード | 農業生態系、生物多様性、環境保全型農業、環境評価、里山 |
農林地の管理法と、そこに生息する昆虫群集との関係について研究を行っています。
複数の作物の「混作」による環境の複雑化が、害虫や天敵の個体数に及ぼす影響を野外実験により調べてきました。この研究を応用して、例えば水田の畦の植生を適切に管理し、稲作害虫の被害を減らす方法を探求したいと考えています。
また、水稲の省力型農法である「不耕起乾田直播農法」が昆虫群集に及ぼす影響を調査しています。直播農法では夏期の落水処理(中干し)が行われず、水生昆虫類の生息・繁殖場所として機能するなど、動植物の群集に大きな影響を及ぼすことが分かってきています。今後は環境保全型農法の生物への影響評価などにも取り組みたいと考えています。
さらに、茶道用木炭の生産を目的としたクヌギの植林地において、植林後の環境と昆虫群集の動態をモニタリングしています。これにより、耕作放棄地の多面的な活用に対し、生物多様性への効果を裏付けるとともに、管理指針に対する示唆を与えることが可能となります。
農林業における、生き物たちへの様々な「工夫」や「配慮」の効果検証を行い、現場への成果の還元を目指しています。
農地の植生管理による害虫被害の低減過程を表す模式図
クヌギ植林地における植林・管理のサイクル
関連する知的財産論文等 | 省力型農法としての「不耕起V溝直播農法」が水田の節足動物と植物の多様性に及ぼす影響.日本生態学会誌 65: 279–290 Abundance, diversity, and seasonal population dynamics of aquatic Coleoptera and Heteroptera in rice fields: effects of direct seeding management. Environ Entomol 42: 841-850. |
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生産農家の協力を得ながら野外調査を実施し、農家の方々と対話を図りながら研究を進めてきました。
・環境に配慮した農林業を実施する生産者
・耕作放棄地の多面的活用に取り組む地域
など