環境・エネルギー
理学部 自然環境科学プログラム
環境分析化学研究室
専門分野 | 分析化学 |
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キーワード | 天然水、微量成分、スペシエーション分析、水質形成過程 |
天然に存在する微量成分には、亜鉛のように生体内で重要な働きをする生体微量必須元素と、水銀のように生体内に取り込まれると毒性を示す毒性元素が存在します。ところが同じ元素でも、その化学形態によって生体への作用が大きく異なる元素があります。例えばクロムにはCr(III)とCr(VI)が存在しますが、Cr(III)は生体内で糖代謝に関連する必須元素である一方、Cr(VI)は非常に毒性が高いことが知られています。したがって、クロムをはじめとした微量元素が環境や生体に与える影響を正しく評価・理解するためには、元素の総量ではなく化学形態別の濃度測定が必要です。
また、環境中に存在する微量元素の化学形態や存在量は、その元素がこれまで経てきた物質循環過程により決定されることが知られています。したがって、これら元素をプローブとすることで、様々な元素の物質循環過程を解明できる可能性もあります。
そこで私たちは、これまで行われてきたような元素の全量測定ではなく、化学状態別分析法(スペシエーション分析法)、特に天然水中に存在しているsub-ppbレベルの微量成分に対する化学状態別分析法の開発に取り組んでいます。
図1. ジフェニルカルバジドを発色試薬として用いた固相分光流れ分析法による超微量Cr(VI)の定量法
図2. 上の方法により得られたシグナルの経時変化
関連する知的財産論文等 | Speciation of dissolved chromium and the mechanisms controlling its concentration in natural water, Chemical Geology, Vol.365, pp.33-41(2014). Selective Determination of Trace Iron in Different Oxidation States in Natural Water by Flow Injection–Solid Phase Spectrometry, Analytical Sciences, Vol.28, No.3, pp.225-230, (2012). |
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海水中に存在している sub-ppb レベルのFe(II)、Fe(III)、Cr(III)、Cr(VI)の酸化状態別定量法開発や、これら分析法のオンサイト化に取り組んでいます。
・水質などの環境計測を通じ、人為由来・自然由来を問わず水質汚濁の原因究明を目指している分野、金属元素の化学状態別分析法を必要としている分野。