研究シーズ集

医療・健康・福祉

とっさの一歩を引き出す装置「傾きリアクション」の開発 ~ ステッピングストラテジーに着目して ~

教育学部

体操方法論研究室

人文社会科学系 准教授

檜皮 貴子 HIWA Takako

専門分野 体操、体つくり運動、体育科教育学、転倒予防運動、コーチング学
キーワード 転倒回避動作との類縁性、身体重心、反応時間、踏み出し速度、踏み出し距離

研究の目的、概要、期待される効果

 転倒回避動作の一つであるステップピングストラテジーに着目し、その動作を安全に誘発させる装置「傾きリアクション」を開発しました。動作の手順は、次の通りです。1.対象者は自然な立位姿勢で水平な板上に乗ります。2.立位姿勢を保持したまま前方に加重します。3.足元の板が前傾し、対象者は転倒を回避する一歩を踏み出します。さらに、板上と傾いた板が接地する床面、対象者が足を踏み出す場所にマット型スイッチを設置し、板が傾いた後に足が離れるまでの時間と板から足が離れて踏み出し足を着地させるまでの時間を測定できるようにしました。さらにFR測定器を改良し、足の踏み出し距離も測定できるようにしました。大学生105名を対象に、「傾きリアクション」測定値と体力・運動能力調査8項目の測定値を分析した結果、握力および上体起こし、50m走、シャトルラン、ハンドボール投げの5項目と「傾きリアクション」での踏み出し速度との間に弱い相関が示されました。すなわち、「傾きリアクション」において足を素早く動かす能力と全身筋力や身体を移動させる能力との間に関連があると考えられます。今後、転倒と関連性の高い測定項目との相関を明らかにすることで、転倒予防効果を示すための尺度として、その発展が期待されます。

   
関連する知的財産論文等

檜皮貴子ほか(2020)転倒予防を目的とした小学校体育授業に関する研究〜動的バランス運動介入の効果〜.日本転倒予防学会誌,7(1),53-63.

檜皮貴子ほか(2013)バランスボードを用いた女性高齢者向け転倒予防体操の考案,体育学研究,58(2),707−720. など

アピールポイント

 転倒のリスクを測定する項目は、転倒回避動作との類遠性が高くないものが多いです。実際に身体重心を支持基底面から外して踏み出しを行う本測定は新しい着眼点を有しています。

つながりたい分野

・健康器具の開発や転倒予防や健康に関わる事業をされている企業
・子どもや高齢者の転倒予防について取り組みを促進している自治体


お問い合わせは
新潟大学社会連携推進機構
ワンストップカウンター まで 
onestop@adm.niigata-u.ac.jp

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