研究シーズ集

医療・健康・福祉

私たちの健康はいかにつくられ守られてきたのか? ~ わが国の歴史的経験に学ぶ公衆衛生と住民参加 ~

教育学部

田中研究室

人文社会科学系 准教授

田中 誠二 TANAKA Seiji

専門分野 公衆衛生学、医学史(公衆衛生史)、ヘルスプロモーション
キーワード 公衆衛生活動、地域保健、衛生教育(健康教育)、住民参加、コミュニティヘルス

研究の目的、概要、期待される効果

 戦後70年、わが国の健康水準は飛躍的に改善・向上しました。医療技術の進歩や保健医療サービスの充実などがこれに大きく寄与していますが、一方で人びとによる多様な健康実践がその礎となっていることもまた確かです。当研究室では、公衆衛生に関するわが国の歴史的経験を掘り起こし検証することで、現代のヘルスプロモーションや健康教育に応用可能な知見を蓄積・整理する作業に取り組んでいます。
 例えば、現在の研究課題の1つに「蚊とはえのいない生活実践運動」と呼ばれた住民主体の地域保健活動があります。1950年前後に農村部で生まれ、その後、全国各地に広がったこの活動は、当時全国的に流行していた「赤痢」の減少に大きな成果を挙げたと評価されています。また「蚊とはえ」対策に留まらず、人びとが直面する健康課題(例えば栄養改善や結核予防など)を次々とテーマに取り上げ、多様な保健活動へと発展していった点が特徴といえます。
 健康問題の解決に向けた「住民の主体形成」と組織活動はいかにして成立するのでしょうか?戦後日本で活発化したこうした地域保健活動に着目し様々な史資料を紐解くことで、現代における公衆衛生活動への応用可能性を検討しています。

研究で使用する様ざまな史資料

公衆衛生に関する日本の経験を掘り起こし,記録する

   
関連する知的財産論文等

田中誠二(2020)「コミュニティ活動(地域活動)」丸井英二編『わかる公衆衛生学・たのしい公衆衛生学』弘文堂

田中誠二他(2018)「群馬県粕川村における迷信『ひのえうま』追放運動」(学会発表:第83回日本健康学会総会〈群馬〉)

田中誠二他(2009)「風土病マラリアはいかに撲滅されたか:第二次大戦後の滋賀県彦根市」日本医史学雑誌 55(1), 15-30

アピールポイント

 様ざまな方法で健康改善に取り組んできた先人たちの「知恵や工夫」を丁寧に記録・分析することで私たちの健康を考える“新たな視点”を提示できるよう努めています。

つながりたい分野

・地域の健康課題に取り組む(検討している)自治体や住民グループのほか、学校等の教育現場の方々との協働を期待します。


お問い合わせは
新潟大学社会連携推進機構
ワンストップカウンター まで 
onestop@adm.niigata-u.ac.jp

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