人文社会科学
人文学部 言語文化学プログラム
中国文学研究室
人文社会科学系 准教授
小島 明子 KOJIMA Akiko
専門分野 | 中国文学、中国文化、比較文学、比較文化、漢文学 |
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キーワード | 王国維、清末、『教育世界』 |
中国文学と言えば、高校以前に習う国語の漢文を連想し、紙面を覆う漢字の羅列にたちまち嫌悪感を抱く方も多いかもしれません。しかし、その一字一字を読み解けば、世界が広がるなぞなぞのようなものです。教科書教材は膨大な作品のごく一部にすぎず、実はほとんどに訳注が存在していません。だからこそ未開拓であり、そのスケールの大きさに魅了されます。
中高では一般的に唐詩や魯迅の小説を学びますが、大学や学界では、この前後や間の時代の文学も見直されています。しかし、いずれにせよ日本特有の受容の偏りが否定できません。私は中国での価値観に照らし、中国では著名な王国維という人物の、主に宋詞を模範とした伝統形式による文学や周辺の文化背景について研究しています。
特に彼が青年期、文学作品などを発表した『教育世界』という雑誌にも着眼しています。教育学分野を中心に各ジャンルの記事が掲載されていますが、日本資料の翻訳が大部分を占めており、清末中国における異文化摂取の状況が窺えます。
20世紀、中国近代文学史の開幕は魯迅が起点とされることも多いですが、魯迅に至り急激に変化を遂げたわけではありません。私は、前近代と近代が交錯していた過渡期において、近代文学の先駆者でありながら古典文学の継承者でもあった人物として、王国維に注目しています。
中国国家図書館蔵『教育世界』表紙
関連する知的財産論文等 | ・「清末雑誌『教育世界』と王国維―未詳記事の調査に基づく編集背景の考証―」 (『日本中国学会報』第66集、日本中国学会、2014年10月) ・「青年期王国維の翻訳家としての位相―『教育世界』時代における日本語受容の問題と関連して―」 (『比較文化研究』No.133、日本比較文化学会、2018年10月) ・「青年期王国維における文学観の形成と填詞の意義―『教育世界』時代の詩詞および文学論に見られる相互関係から―」 (『風絮』第16号、日本詞曲学会、2019年12月) |
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国語の授業では教えてくれない中国文学、日本ではなく中国の視点でとらえる中国文学、「中国文学」の枠を超えたところから中国文学を見直す学際研究。
・他分野研究者との共同研究、自治体の生涯学習講座、アカデミックなテレビ番組