医療・健康・福祉
医学部 保健学科
近藤 研究室
専門分野 | 医用画像情報学、放射線科学、画像工学、知能情報学、生体医工学 |
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キーワード | 画像診断、深部静脈血栓症、超音波画像、ディープラーニング、コンピュータ支援診断 |
2004年に発生した新潟県中越地震を皮切りに、災害後の肺血栓塞栓症(PTE)の発症増加が注目されています。PTEの原因のほとんどは下肢深部静脈血栓症(DVT)です。DVTの予防策には水分補給、足や体を動かす、弾性ストッキングを履くなどがありますが、これらを実施するためにはまず被災者自身が自分のDVT発症リスクの程度を認識する必要があります。そのために被災地でのDVT検診として、医療従事者による採血を通じたD-ダイマー検査や下肢静脈エコーが実施されてきました。しかしながら、孤立・点在する避難所すべてをカバーすることは困難であり、対策が望まれています。そこで、本研究室では、各避難所に簡易型の超音波検査装置を常設し、被災者自らが自分のDVT発症リスクを計測できるツールとして利用できれば有用であろうと考えました。そのため、本研究では、下肢静脈エコー画像からDVT発症リスク(例えば、3段階:高、中、低)を予測する人工知能(AI)診断アルゴリズムを開発することを目的としています。被災者自らが超音波プローブを自身の下肢に当てて画像取得・計測を行うことを想定しており、そのために、至適な断面画像を得るための超音波検査ガイドシステムの要素技術の開発も視野に入れています。
下肢静脈エコー画像例(正常)
簡易型エコー装置(ポケットエコーmiruco)
関連する知的財産論文等 | 科研(C)「災害時や在宅ケア用の下肢静脈血栓症リスク自動評価ツールの開発」(課題番号20K11068) 中山裕介,田村愛,近藤世範,皆川靖子,内山美枝子:深層学習による深部静脈血栓症診断のための至適エコー断面像の自動認識.第78回日本放射線技術学会総会学術大会.横浜,4/14-17,2022.(学生優秀賞 受賞) |
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平時には在宅ケア用にも活用できると考えます。人工知能分野の革新的手法として注目・活用されているディープラーニングを主要技術として研究開発を進めます。
・災害時支援や在宅ケアなどでAIの活用を目指す医療保健福祉の分野。災害時支援の計画立案を行う市町村や画像工学の観点から災害時の支援機器の開発を行いたい企業を期待します。