研究シーズ集

人文社会科学

弥生時代の農耕技術を探る ~ 石製農具による実験考古学的研究 ~

研究統括機構 超域学術院

森研究室

研究統括機構超域学術院 助教

森 貴教 MORI Takanori

専門分野 考古学
キーワード 弥生文化、稲作、実験考古学、石庖丁、使用痕分析

研究の目的、概要、期待される効果

 弥生時代は、現在にいたる生業の基盤である米づくりが始まった時代です。私は弥生文化の特質を明らかにする研究の一環として、復元した石製農具を用いて実験考古学的研究を行っています。
 弥生時代の農具の代表といえる「石庖丁」は、扁平な石材の一辺に刃をもつ石製の収穫具で、これを用いてイネ科等草本植物の穂を摘み取っていたことがこれまでの研究で明らかになっています。また、「大型直縁刃石器」とよばれる大型の板状石器は、穂摘みの後に残った稲株などの残稈処理や除草作業に用いられていたと考えられています。
 しかし、遺跡から出土したこれらの石器が本来どのように使われていたのか、刃の付け方や形、使用石材の違いなどが収穫効率や操作性に及ぼす影響については不明な点も多く残されています。そこで、実験を通して石製農具の機能・用途について具体的に明らかにしたいと考えています。
 また、落射照明型顕微鏡を用いて石器の表面を高倍率(100~500倍)で観察すると、珪酸体を含むイネなどの切断によって生じる特徴的な使用痕(微小光沢面)がみられる場合があります。考古資料と収穫実験で用いた復元石器の使用痕分析を比較することで、弥生時代の農耕技術をさらに実証的に明らかにできるものと期待されます。

復元石庖丁による収穫実験(静岡市登呂遺跡復元水田)

考古資料に対する使用痕分析(モリテックスSOD-Ⅲ)

   
関連する知的財産論文等

孫 晙鎬(森 貴教訳)2019「韓半島 半月形交互片刃石庖丁の製作・使用・意味―任實郡青雄面出土品に対する分析―」『環日本海研究年報』第24号、新潟大学現代社会文化研究科環日本海研究室、76-94頁。

森 貴教・原田 幹 2020「弥生時代における石製農具の使用痕分析―古賀市馬渡・束ヶ浦遺跡出土石器を対象として―」『環日本海研究年報』第25号、新潟大学現代社会文化研究科環日本海研究室、1-12頁。

アピールポイント

 弥生時代の農耕技術について実験を通して明らかにすることを目指しています。本実験に関心をお持ちの方のご連絡をお待ちしております。

つながりたい分野

・地方自治体など
・他分野(農学・植物学など)との共同研究
・様々な教育研究活動・文化振興の取り組み


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新潟大学社会連携推進機構
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