地域社会との連携を目的とした中長期行動戦略

令和5年3月30日制定

新潟大学では、将来ビジョン(産学・地域連携)において、「新潟大学は、地域での対話や産学協働を活用した教育・研究活動を推進し、新潟という地方中核都市を起点とした地域創生と個性化に寄与することで、新たなライフ・イノベーションを生み出すための、社会と地域の共創の拠点となる。」を掲げ、この具現化に向けて、第4期中期目標・中期計画において「産学連携」と同様に「地方創生」を重要なミッションと位置付け、大学としての行動戦略を策定しました。

行動戦略

Ⅰ.産学連携を進めるための基本方針

産学イノベーション推進部門にコーディネーターや専門性の高いクリエーティブマネージャーを配置し、イコールパートナーの思想のもと組織型共同研究の拡大を基軸に積極的に研究成果等の社会実装を推進する。

1.共同研究の裾野拡大
  • 研究者に対して、共同研究や産学連携の効果・実績の発信を、SNS等を活用して積極的におこなうとともに、研究者と企業のマッチングを行うことで産学連携に参画する研究者数を拡大します。
  • 企業情報や意見交換等を通して、企業の経営戦略(重点・展開しようとしてる分野・領域等)を分析し、共同研究の企画・提案を行います。企業主導で行っている公募プログラムやアライアンス事業等を積極的に活用します。
2.組織型共同研究の拡大
  • 現在行っている共同研究や企業を分析し、大型化や開発段階にレベルアップする可能性を検討し、組織型共同研究の企画・展開を推進します。
  • 組織型共同研究を行っているものについて大学と企業の執行役員レベルで共同研究に関するゴールミッションの共有化等の意見交換を通して、両者が安心して共同研究の拡大・展開ができるようにします。
3.共同研究をさらに拡大させるための環境強化
  • 社会連携推進機構ライフイノベーション推進室に高度専門知識を有するクリエーティブマネージャーを配置して、本学が国際的優位性をもつヘルス・ライフサイエンス研究領域に対して重点的な推進を行います。
  • 未来健康科学オープンイノベーションセンターおよび共同利用施設等を有効活用して、企業拠点誘致をともなう組織型共同研究を展開します。
  • 外部TLOなど技術移転機関を活用して、学内スタッフでは不足しているプレマーケティング及び営業活動を強化します。
4.その他
  • 共同研究に資する研究成果の知的財産の精査及び権利化を実施するとともに、保有する知的財産の適切な管理・棚卸により業務及びコストの効率化を図ります。
  • 社会及び企業からの信頼を獲得・維持するため、リスクマネージメント体制を整備し、関連規程及び手続きの整理等を行い、産学連携に関した技術流出管理を適切に行います。
  • 共同研究に伴う諸活動により発生する利益相反を適切にマネージメントするため、利益相反マネージメントに関するガイドラインを整理し関係者に対して教育及び周知を行うとともに、過度な管理が研究の円滑な遂行の阻害要因とならないよう適切にマネージメントします。
  • 産学連携(知財管理も含め)推進のためのマネージメントコストやあらたな取り組みのための高度専門人材の人件費の確保等は、産学連携を進めるうえで投資的な資金であり、産学連携を推進するうえで必須です。現在、企業等から本学に納付される間接経費及び産学連携強化経費、寄附金に、大学独自資金をさらに加えて運営を行っています。さらに、政府系事業費等の獲得なども併せて行い、次世代型の共同研究環境の開発も進めています。今後、共同研究マネージメントの高度化等を進めるためには、これら資金の拡大・好循環が必要です。このため、産学連携強化経費等の比率を見直すなどの企業の方々のご理解・ご協力をお願いしたいと考えています。
  • 新産業(ベンチャー等)の創出のためのアントレプレナー教育やベンチャーインキュベーション、さらには大学発ベンチャーの支援等を関係部局および新潟県等との連携のもとベンチャリングセンターが核の一つとなって推進します。

 

本取り組みによる目標(KPI)
民間等との共同研究における年間契約額(収入額)を、800百万円とする。

 

 

Ⅱ.地域創生を進めるための基本方針

地域協働部門に専門性の高い社会インパクトマネージャーを配置し、地域との対話と信頼関係のもと組織型地域創成プロジェクトを基軸に若者にとっても魅力的な地域産業や地域の創生を推進します。

新潟地域には、日本を代表しグローバルブランド力を持つ農業・産業が多く発展しています。また、新潟大学はこれらの地域の特色を反映した研究を長期にわたって推進してきました。これに伴って、建学以来、本学の多くの研究者たちは、新潟の多くの地域と連携して多彩な活動を行ってきました。しかし、これらの活動は、研究者の個人的なプロジェクトであったり、学生育成のための地域連携の取り組みであったりしたものでした。今後、このような取り組みを行っている研究者たちや関連する産業界、金融界、地域自治体を組織化して、地域や地域産業が若者にとってもより魅力的なものになるための科学技術学術を活用したプロジェクト(共創イノベーションプロジェクト:共創IP)を組織的に推進します。
本学の強みがある研究分野、新潟県の国際的優位性やブランド力があるエリアを分析し、「新潟重点領域」を設定します。まず以下の共創IPを設定しました。今後、地域からの要望やさらなる分析のもと共創IPの数を増やします。現在の共創IP:「コメ共創IP」、「おいしさ共創IP」、「モノづくリ共創IP」、「防災街づくり共創IP」、「地域医療DX共創IP」、「佐渡共創IP」。
これらの発展情報の共有やあらたな地域の要望を得るために新潟県内の自治体や産業界との対話の場(紡の会)を定期的に開催します。これらのプロジェクトでは、積極的にスタートアップとして自治体や政府系の資金を獲得して推進を目指します。そのうえで、新しい地域や産業として創生するための持続・発展可能な活動につなぎます。
これらの共創IPは社会インパクトマネージャーが核となって企画・推進します。

 

本取り組みによる目標(KPI)
  • 共創IPの構築数【6件以上】
  • 共創IPに関与する自治体・企業数【150以上】
  • 共創IPに参加した自治体・企業等からの満足度【本学との協働取組に満足又は地域の課題解決に資する取組や,具体的成果等を判断できる回答が7割以上】
  • 地域連携に関する外部資金の獲得額【令和3年度比50%以上増加】

 

Ⅲ.地域リカレント教育を進めるための基本方針

地域人材育成部門に専門性の高い実務家教員を配置し、新潟地域のエッセンシャル産業や特有の地場産業界との対話と信頼関係構築のもと地域リカレントコンソーシアム(共同教育講座)を基軸に若者にとっても魅力的な地域産業となるためのリカレント教育を組織的に展開します。

新潟地域の主要産業の中には、新潟特有の産業のみならずIT産業や建設業の様に地域経済や地域の安全・安心を支える上で重要な分野であるにも関わらず、高度な専門知識を身に付けた人材を十分に採用することができず、専門分野と合致しない者を雇用せざるを得ない状況に陥っています。その結果、専門人材の高齢化や担い手不足とともに先進技術の導入・活用ができず、この領域の産業がさらに魅力的でなくなり、さらなる専門人材の採用ができなくなります。非専門人材を再教育することを一つの中小企業で行うことは困難であり、この課題解決を個別に大学教員が担うのは困難です。これは単にこの産業分野の停滞にとどまらず、地域自体の魅力の低下になっています。
このような企業群をコンソーシアム化して、各企業が持っている専門的な知識や技術を出し合い、大学教員が体系立てカリキュラム化することで、コンソーシアムとして専門的な教育を提供し、各企業で先進技術導入ができるようになることを目指します。このために、受講者が時間に制約されずに受講可能な環境で受講できるオンデマンド型の統合学習システムを整備し、各自のペースで履修可能なリカレントプログラムの提供を実現します。
地場産業群におけるリカレント教育ニーズの分析・把握をおこない、対象産業と学内の教育体制との連携のもと組織的なリカレント教育プログラム(共同教育講座)の企画構築推進を行います。イノベーションコモンズとして実践教育施設等の整備のために公的資金の獲得・活用を積極的に行います。

 

本取り組みによる目標(KPI)
リカレント教育プログラム数【10件以上】
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