研究成果を実用化し、社会に役立てることは社会貢献の一つの手段です。 研究成果の中には、特許により技術開発の投資を促進し、実用化の可能性が高まる、または実用化の時期が早まる性質をもった技術があります。このような研究成果について特許で保護されていない場合、いかに研究成果が優れていても企業等が技術開発に消極的になり、研究成果が活用されないことになってしまいます。 一方、特許により研究成果の普及が妨げになる場合もありますので、一律に研究成果を特許にするということではありません。
職務に関連した研究活動により発明を創作したときは、速やかに「発明届出書」および「権利譲渡書及び持分合意書」に必要事項を記載して提出してください。提出方法については、「特許出願に係る学内手続」のページをご覧ください。
発明者とは、課題の解決に直接貢献した人です。単に実験をしただけの人や同じ研究室メンバー、単なる管理者・上司、資金提供者というだけでは発明者にはなりません。真の発明者以外を発明者に加えたり、逆に真の発明者を全て含まずに特許出願しても、後に特許が無効になる場合があります。
持分割合は原則として共同発明者間で発明の貢献度に応じて協議により決めていただきます。
論文・学会発表(学会発表の予稿集が事前に発行される場合は、予稿集発行日)、科研等研究費報告書等の公開前に発明届出書を提出してください。特許出願前に学会やホームページで発明が公表されると原則として特許を受けることができなくなります。論文・学会発表等の少なくとも2ヶ月前までに届け出ていただくことが望ましいです。
学会発表や論文発表によって公表済みの発明を特許出願した場合、原則として新規性がないとして特許を受けることはできません。
しかしながら、発明者が自発的に発表した場合は、予稿集発行日を含む最も早い公表の日から1 年以内であれば、新規性喪失の例外適用を受け、特許を受けることができる場合があります。ただし、新規性喪失の例外適用はあくまでも緊急的な措置であり、欧州等ではこのような制度はないため発表前に特許出願を完了させておくのが基本原則となります。
発明届出書の内容を基に発明審査委員会にてその発明が職務発明であるか否か、およびその発明に係る特許を受ける権利を本学が承継するか否かを審議し、学長が決定します。
権利の承継の判断は、発明の技術的性格、代替技術と技術優位性、抵触可能性、侵害発見容易性、共同研究創出可能性の観点の評価に基づいて行います。
承継後、速やかに特許出願の手続きを行います。本学単独で創作された発明は、本学単独で手続きを行い、企業との共同研究で創作された共同発明は、原則として企業にて手続きを行い、企業と共同出願をします。
本学が承継しない発明に係る権利は発明者である教職員等に帰属します。
特許出願が完了していれば学会等で発明の内容を公表することができます。
ただし、特許出願の内容は、1年6ヶ月後に特許公開公報により公開されることになりますが、公開前は秘密情報の扱いとなりますので、特定の企業等に発明の内容を開示するときには、秘密保持契約(NDA)の締結が必要となります。
学生が教員と共同して発明を創作した場合には、大学と協議の上、その取扱を決めることになります。学生が特許を受ける権利を大学に譲渡することに同意した場合は、教職員に準じた取扱を行うことになります。
また、企業等の外部との共同研究において、学生が行った発明に関して事前に、教職員と同じ取扱をすることに学生本人が同意していた場合は、教職員に準じた取扱を行うことがあります。
大学を退職後等に発明を創作した場合には、大学と協議の上、その取扱を決めることになります。発明者が特許を受ける権利を大学に譲渡することに同意した場合は、教職員に準じた取扱を行うことになります。
特許のライセンスは、発明が産業界等で活用されることを目的として、企業等の事業戦略を考慮し、最適な許諾条件を設定します。特定の企業等で活用されるときは、独占的な実施許諾や権利譲渡を検討します。複数の企業等で活用されるときは、非独占的な実施許諾を検討します。
教職員等と共同研究相手方との共同発明に係る権利は本学と相手方との共有となります。共同発明を特許出願する場合は、本学と相手方との間で共同出願契約を締結します。受託研究から創作された発明は、契約条件に基づいて取扱います。
相手方が譲渡を希望するときには、対価を協議の上、譲渡契約によって本学の持分を譲渡することができます。
特許出願した発明の内容と第三者の実施技術を確認の上、社会連携推進機構にてライセンス等の交渉をするか否かを検討します。
特許を維持するには費用がかかりますので、活用の可能性の有無により維持するか否かを判断します。定期的に活用に関する評価を行い、継続すべきか否かを判断します。登録後10年以降は、維持料が高額となり、かつアカデミックディスカウントも適用されないこととなるため原則として、特許の維持はしないこととしています。