医療・健康・福祉
2025.04.16
全身性エリテマトーデスにおける抗リボソームP抗体による病態悪化メカニズムの解明
~ トリプトファン代謝に着目して ~
医学部
腎・膠原病内科学分野

金子 佳賢
KANEKO Yoshikatsu
医歯学系 講師
佐藤 弘恵
SATO Hiroe
保健管理センター 准教授
若松 彩子
WAKAMATSU Ayako
医歯学総合病院 助教
佐藤 香穂
SATO Kaho
医歯学系 大学院生
- 専門分野
- 膠原病リウマチ、腎臓内科、免疫学
- キーワード
- 全身性エリテマトーデス、抗リボソームP抗体、中枢神経ループス、ループス腎炎、トリプトファン・キヌレニン
研究の目的、概要、期待される効果
全身性エリテマトーデス(SLE)は抗DNA抗体などの多彩な自己抗体を伴う自己免疫疾患です。抗リボソームP抗体はSLEでみられる自己抗体のひとつで、中枢神経障害などと関連します。
我々は抗DNA抗体陽性のループス腎炎患者で抗リボソームP抗体が陽性である場合は腎組織所見が重症であることを報告しました。また、抗リボソームPモノクローナル抗体を作成し、マウスに投与することで気分障害を生じること、それは抗体による脳組織の直接的な障害ではなく、血中トリプトファン濃度の低下に伴うものであることを明らかにしました。さらに、抗リボソームP抗体陽性SLE患者では血清IFNα2が高く、トリプトファン・キヌレニン経路が促進していたことを報告しました。
以上から、SLEにおいて抗リボソームP抗体は抗DNA抗体と異なる特異的な免疫学的異常により重症化およびトリプトファン代謝異常を介した精神神経障害に関与していると推測されました。
現在、抗リボソームP抗体がどのようにSLEの病態を悪化させるかのメカニズムの解明を、末梢血の検体を用いて、フローサイトメトリー法やシングルセルRNA解析などの手法を使用し進めているところです。
関連する知的財産論文等
- ・Kaneko Y, Sato H, Wakamatsu A et al. Rheumatology (Oxford). 2024; 63: 1411-1421
- ・Cho T, Sato H, Wakamatsu A, Kaneko Y et al. J Immunol. 2021; 206: 1729-1739.
- ・Wakamatsu A, Sato H, Kaneko Y, et al. Lupus. 2021; 30: 448-458.
アピールポイント
抗リボソームPモノクローナル抗体を使用している点で独自性が高い研究です。免疫学的異常と精神神経障害の関連とその機序を検討しています。これまで多くの論文の実績があります。
つながりたい分野
- ・免疫学的異常と細胞内代謝に着目した精神神経障害のバイオマーカーの開発や、新しい治療ターゲットの解明および創薬
お問い合わせは新潟大学社会連携推進機構ワンストップカウンターまで
onestop@adm.niigata-u.ac.jp


