
医療・健康・福祉
2025.04.24
機能的な歯の再生を目指したマトリックス研究
~ 組織特異的な線維形成と細胞制御 ~
歯学部
生体歯科補綴学分野

加来 賢
KAKU Masaru
医歯学系 准教授
- 専門分野
- 歯科補綴学、再生医療、細胞外マトリックス、コラーゲン、細胞制御、細胞追跡
- キーワード
- 再生医療、歯科補綴学、細胞外マトリックス、コラーゲン、細胞制御、細胞追跡
研究の目的、概要、期待される効果
ヒトの永久歯は一度失われると,自然に再生することはありません.したがって現在の治療法では,種々の人工材料によって補う方法が主流です(義歯,インプラントなど).わたしたちは歯自体はこれまで通り人工材料を使用する傍ら,歯と周りの組織を結合する“歯根膜”を細胞生物学的な手法で再生することにより,天然の歯と遜色のない,機能的な歯の再生が可能になると考えています.
細胞外マトリックスは組織の機能的な本態としてだけでなく,組織の維持に関わる細胞の増殖分化に積極的に寄与することから,細胞外マトリックスの組織特異的な組成の再現こそが,歯根膜再生の鍵であると考えています.
歯根膜の再生を目指し,組織から採取したタンパクを線維形成に特化したデータベースを用いて包括的に解析だけでなく,マトリックスに制御される細胞動態を組織レベルで可視化する方法により,マトリックス中心とした歯根膜組織の全体像を明らかにするための研究に取り組んでいます.
わたしたちが目指しているのは,機能的な歯の再生ですが,この技術は多様な結合組織のマトリックス研究にも応用可能です.
関連する知的財産論文等
- ・Kaku M, Thant L et al. Sci Rep. 2024 14(1):354.
- ・Arai M, Kaku M et al. Biochem Biophys Res Commun. 2023. 6;692:149364.
- ・Thant L, Kaku M et al. Front Physiol. 2022. 20;13:899699.
- ・Kaku M, Rocabado JMR et al. J Cell Physiol. 2016 Apr;231(4):926-33.
- ・Kaku M, Yamauchi M. J Prosthodont Res. 2014. 58(4):193-207.
アピールポイント
・線維形成や,組織中での細胞動態を指標に,様々な生理活性物質の評価が可能です.
・健康食品と骨のマトリックス形成について企業と共同研究の実績があります.
つながりたい分野
- ・細胞外マトリックスによる再生医療,病態解明
- ・細胞外マトリックスの形成能を評価基準とする新薬,健康食品の探索
お問い合わせは新潟大学社会連携推進機構ワンストップカウンターまで
onestop@adm.niigata-u.ac.jp