新潟大学 社会連携推進機構

医療・健康・福祉
2025.04.25

糖鎖認識受容体を標的としたウイルス防御機構の解明

医学部 保健学科 山本研究室
山本 秀輝
山本 秀輝
YAMAMOTO Hideki
医歯学系 助教
専門分野
免疫学、生体防御学、感染症内科学
キーワード
インフルエンザ、ワクチン、感染制御
関連URL
https://www.clg.niigata-u.ac.jp/introduction/inspection_prof.html?prof_code=PRF0058

研究の目的、概要、期待される効果

 微生物が体内に侵入すると、微生物構成成分を免疫細胞が認識し、炎症反応を誘導することで微生物を排除します。免疫細胞が認識する微生物構成成分として、近年は微生物由来の糖鎖が注目されており、そのセンサーとしてC型レクチン受容体(C-type lectin receptors; CLRs)とよばれる受容体が非常に重要な役割を果たします。
 当研究室ではウイルス糖鎖を標的としたインフルエンザ予防基盤の確立を目指し、インフルエンザウイルス(IFV)が含有する糖鎖に焦点を当てた免疫機序を解析しています。これまでに、高マンノース多糖を認識するCLRsであるDectin-2がA/H3N2亜型(香港型)IFV由来のヘマグルチニン(HA)を認識し、炎症応答を開始させることを報告しました¹ ²。HAはIFVワクチンの標的分子であるため、A/H3N2亜型HAにより誘導される抗体応答へのDectin-2の関与について、現在解析を進めています。本研究成果は新規ワクチンアジュバントの開発などに臨床応用できる将来性を秘めています。
 また、真菌性肺炎や細菌性敗血症における宿主炎症応答へのCLRsの関与についても他大学と共同で研究を行っています³ ⁴。よって、糖鎖認識受容体を標的としたさまざまな病原微生物への感染制御基盤構築を目指し、その詳細な分子メカニズムを動物モデルを用いて検討しています。

関連する知的財産論文等

  • 1. Yamamoto H. et al. Biomed. Res. 42(2): 53-66, 2021. doi: 10.2220/biomedres.42.53.
  • 2. Yamamoto H. et al. Advances in Infectious Diseases 13(3): 478-497, 2023. doi: 10.4236/aid.2023.133039.
  • 3. Miyahara A. et al. Infect. Immun. 92(6): e0002424, 2024. doi: 10.1128/iai.00024-24.
  • 4. Suzuki T. et al. Biomed. Res. 45(6); 243-251, 2024. doi: 10.2220/biomedres.45.243.

アピールポイント

マウスへの微生物感染および薬剤投与をベースとした動物実験を得意としています。また、フローサイトメトリーやPCRなどの分子細胞免疫学的解析をルーティンとして行っています。

つながりたい分野

  • ・ウイルス学的解析を得意とする企業および研究者
  • ・微生物由来の糖類やタンパク精製を得意とする企業および研究者

お問い合わせは新潟大学社会連携推進機構ワンストップカウンターまで

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