新潟大学 社会連携推進機構

医療・健康・福祉
2025.05.07

夏場、口をつけて飲んだペットボトル飲料は危険?

~ 再飲用の可能性を探る! ~
医学部 保健学科 臨床化学研究室
河内 美帆
河内 美帆
KAWACHI Miho
保健学研究科 大学院生
佐藤 拓一
佐藤 拓一
SATO Takuichi
医歯学系 教授
専門分野
臨床化学、口腔衛生学、口腔保健学、口腔細菌学
キーワード
ペットボトル飲料、飲み残し、細菌同定、麦茶、スポーツ飲料、オレンジジュース
関連URL
https://www.clg.niigata-u.ac.jp/introduction/inspection_prof.html?prof_code=PRF0045

研究の目的、概要、期待される効果

 ペットボトル飲料は、一度開封した後でも蓋をすることで持ち運びに便利であるという使用上の大きなメリットがあり、私たちの生活でも身近なものです。
 ペットボトル飲料の飲み残しについてのマスコミでの報道は、特に夏に多く見られます。夏は、直接口をつけて冷たい飲み物を飲む機会が多いためです。しかし、飲み残した場合、口腔からの唾液の流入や汚染、健康への影響が懸念されます。飲み残しは廃棄するように飲料メーカーは推奨していますが、その根拠となると、意外と科学的には調べられていないようです。また、ほんの少量だけ飲んだ場合、もったいないと思い保管したり、あるいは自然災害など、再飲用を余儀なくされることも想定されます。
 これまでに、麦茶や緑茶、スポーツ飲料、オレンジジュースを飲み、飲み残した際の口腔からの唾液の流入について研究を行い、唾液細菌がペットボトル飲料へ流入していることが判明しています。また飲み残しを1日保存した麦茶は細菌が100倍程度に増殖しましたが、スポーツ飲料やオレンジジュースではあまり細菌は生えませんでした(図1)。スポーツ飲料やオレンジジュースであまり細菌が検出されない原因として、飲料の低いpHや、含まれる成分(ポリフェノール類など)が影響していると推定しています(図2)。
 各飲料のpHや成分の比較検討を進め、ペットボトル飲料の品質管理という面でも新しい視点を探索しながら研究を進めています。

関連する知的財産論文等

  • ◆河内美帆,佐藤拓一:『夏場、口をつけたペットボトルは危険は誤解? 麦茶では細菌数が増加も、スポーツ飲料は減少する理由』 AERAdot. 編集部(朝日新聞出版)(2023/08/02/)https://dot.asahi.com/articles/-/197452
  • ◆Kawachi M et al. Molecular Microbiological Profiling of Bottled Unsweetened Tea Beverages: A Screening Experiment. Journal of Oral Biosciences 66(3): 628-632, 2024.

アピールポイント

医学・歯学・保健学の最新の知見・検査技術を活用して、飲みかけのペットボトル飲料の安全性や健康への影響、保管などに関する研究です。他の食品衛生学にも応用可能な研究手法・体制となっています。

つながりたい分野

  • ・食品学・食品衛生学
  • ・食品製造・販売業

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