医療・健康・福祉
2025.04.21
口腔Helicobacter pylori (ピロリ菌)の制御により胃がんの予防を目指す
歯学部
う蝕学分野

永田 量子
NAGATA Ryoko
医歯学系 医員

野杁 由一郎
NOIRI Yuichiro
医歯学系 教授
- 専門分野
- 保存修復学、歯内療法学、口腔バイオフィルム
- キーワード
- Helicobacter pylori、Nested polymerase chain reaction、口腔内細菌、遺伝子解析
研究の目的、概要、期待される効果
WHO(世界保健機関)は、ピロリ菌(図1)が胃がんの原因因子であると認定し、ピロリ菌除菌が胃がんの予防効果を高めると認め、各国ごとに戦略を立てるように勧告しています。ピロリ菌は胃の内部以外にも、口腔内からも高確率で検出されます。しかしながら、口腔ピロリ菌はDNAでしか検出法が確立しておらず、口腔内に存在するピロリ菌が胃の感染とどのように関係しているか、わかっていません。
私たちは、日本における胃のピロリ菌感染が減少しつつあるにもかかわらず、若年層(24〜34歳)でも20%以上の人が口腔内にピロリ菌DNAを保有していることを明らかにしました。また、ピロリ菌に感染したことがある人は高い頻度で口腔ピロリ菌が検出されています。そこで私たちは、胃と口腔のピロリ菌のDNA相同性を解析し、関連性があるのかを研究しております。高い相同性があることが確認できれば、ピロリ菌の感染経路や供給路を示唆する重要なエビデンスを追加することが可能になると考えられます。
本研究の成果は、胃のピロリ菌除菌時に並行した口腔内清掃や洗口液の使用などを勧めるとともに、除菌を補助する製品の開発になどに応用できると考えております。
関連する知的財産論文等
- ・Nagata R, Noiri Y. et al. Int J Mol Sci. 2023, doi.org/10.3390/ijms24032211.
- ・Nagata R, Noiri Y. et al.: Current Prevalence of Oral Helicobacter pylori among Japanese Adults Determined Using a
- ・Nested Polymerase Chain Reaction Assay. Pathogens. 2020, 24;10(1):10.
アピールポイント
医科歯科連携の発展に加えて、ピロリ菌除菌戦略の計画や、除菌補助用薬品の開発など、医薬品関連領域への応用も期待されます。
つながりたい分野
- ・口のピロリ菌のその後の感染機序と制御に興味のある、医学領域、その他の分野や企業。
- ・ピロリ菌の除菌により胃がんの発症の予防を目指している医科系の施設や自治体など。
お問い合わせは新潟大学社会連携推進機構ワンストップカウンターまで
onestop@adm.niigata-u.ac.jp


