
社会基盤
2025.05.15
遠隔地地震波形リアルタイム配信を用いたAIによる未来の地震波形予測を利用した構造系振動制御
工学部 機械システム工学プログラム
動力学・制御研究室

平元 和彦
HIRAMOTO Kazuhiko
自然科学系 教授
研究の目的、概要、期待される効果
地震外乱を受ける構造系の振動制御系のさらなる性能向上のため、リアルタイム地震観測網(防災科学技術研究所 強震モニタ等)から得られる(途上にある)遠隔地波形配信データを用いて、制御される構造系に地震外乱が到達する前に地震の未来波形を予測し、先回りして制御する手法を研究しています。現況では、波形予測に人工ニューラルネットワーク(ANN)、アクティブ振動制御に予見制御則を使用しています。
記録地震波(2004年中越地震)を用いて設計パラメータを最適化したシミュレーションでは、(A) 精度の高い未来波形の予測が可能であること、(B) 通常のフィードバック制御(最適制御)と同等のアクチュエータ力で、振動抑制性能を平均2桁%以上向上できることを示しました[1]。
現在、(a) 様々な地震波に対する制御系のロバスト性の確保、(b) 推定に用いる遠隔地波形観測点数の拡大、(c) セミアクティブ(遅いパラメータ更新速度を持つデバイスも含む)振動制御への適用拡大等に向けて研究を進めています。
この研究により、地震外乱を受ける多数の構造系の振動制御性能の大幅な向上が実現され、巨大地震のような災厄に対し、よりレジリエントな社会を創出することに貢献できると期待しています。
関連する知的財産論文等
- [1] K. Hiramoto and T. Matsuoka, Active vibration control of structural systems with a preview of a future seismic waveform generated by remote waveform observation data and an artificial intelligence–based waveform estimation system, Journal of Vibration and Control (2020), DOI: 10.1177/1077546319901024
アピールポイント
新設される構造系およびその振動制御系だけでなく,既設の構造振動制御系にアドオン的に波形伝送・推定,予見制御機能を加えることによる本手法の実装も可能です。
つながりたい分野
- ・制御工学分野,振動工学分野,情報通信・IoT分野,人工知能(AI)分野,土木・建築分野,防災関連分野 他 との連携を希望します。
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onestop@adm.niigata-u.ac.jp