新潟大学 社会連携推進機構

ナノテクノロジー・材料
2025.05.15

構造・機能・反応制御のための元素特異的技術シーズの探索

工学部 材料科学プログラム 齊藤研究室
齊藤 健二
齊藤 健二
SAITO Kenji
自然科学系 准教授
専門分野
無機化学、触媒化学、固体化学、ナノ材料科学
キーワード
多孔結晶、ナノワイヤー、セラミックス
関連URL
https://researchers.adm.niigata-u.ac.jp/html/100000664_ja.html

研究の目的、概要、期待される効果

 社会・エネルギー・環境情勢の急速な変化に伴い、持続可能性との強い繋がりをもつ技術開発が求められています。我々の研究グループでは、周期表にある多様な元素の性質を基に、サステナブルな社会に貢献する物質開発、機能開発、および反応設計を行っています。
 一例として、次世代エネルギーの水素を用い、新しい酸化物の多孔結晶を合成する技術を開発しました(図1)。当該多孔結晶は、光触媒やD2製造等、ゼオライトでは持ち得ない性能を示すことがわかっています。現在、空間構造と触媒機能との相関を調査しています。
 もう一つの例として、身近な元素であるバナジウムを用いた遷移金属炭化物の反応経路の設計を行っています。炭化ニオブ(NbC)の合成には、高温焼成、温室効果ガスの排出、または不安定試薬の使用のいずれかを伴います。一般的なカルボサーマル反応では、五酸化ニオブ(Nb2O5)と炭素(C)を1500ºCで焼成し、大量のCOも発生します。それに対し、バナジウムを反応系に加えると(VCを利用)、NbCの結晶化は770ºCから起こり(図2) 、カルボサーマルと同じ合成時間では、1000ºCで反応が完結しました。これは、バナジウムの性質・反応熱・反応経路に因ります。

関連する知的財産論文等

  • 1 Saito, K.*; Takahashi, Y.; Kuwabara, D.; Watanabe, Y. ACS Appl. Mater. Interfaces 2023, 15, 53665-53670
    (https://doi.org/10.1021/acsami.3c10246).
  • 2 Saito, K.*; Jinushi, T.; Soga, I. ACS Omega 2024, 9, 7069-7074.
    (https://doi.org/10.1021/acsomega.3c09045).

アピールポイント

無機固体の合成は、固相・液相・気相のいずれのアプローチでも検討しています。例えば気相法では、化学気相成長(CVD)装置を自作し、垂直配向ナノワイヤー酸化物を合成しています。

つながりたい分野

  • ・炭酸塩等の新物質開発を進めています。元素置換による発色の調整も可能です。現行のシステムの代替材料の探索、特に新物質の利用に興味のある産業界との繋がりを期待します。

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