
ナノテクノロジー・材料
2025.05.15
リチウムケイ酸塩のCO₂吸収能と表面欠陥の関係解明にむけた蛍光による評価法の確立
工学部 化学システム工学プログラム
無機材料研究室

渡邉 美寿貴
WATANABE Mizuki
自然科学系 准教授
- 専門分野
- 無機材料、セラミックス、低温合成、発光材料、CO2吸収材
- キーワード
- セラミックス、CO2吸収材、気体吸着、発光特性、格子欠陥
研究の目的、概要、期待される効果
二酸化炭素(CO₂)削減のため、工場や発電所から排出される高温ガスからCO₂を高選択的に分離・回収可能な固体CO₂吸収材料が注目されています。そのなかでも、Li₄SiO₄をはじめとしたリチウムケイ酸塩は室温から700℃までの広い温度範囲でCO₂と可逆的に反応する(右上図)優れた固体CO₂吸収材料です。
リチウムケイ酸塩のCO₂吸収能を向上させるために重要なCO₂吸着過程を調査することを目的としています。しかしながら、その効果的な評価法は確立していません。本研究は、吸着点の一つである、原子欠損などの「格子欠陥」とその欠陥に起因する「発光現象」を結び付け、CO₂吸着にともなって変化する欠陥状態と発光特性の関係を調査することで、CO₂の吸着状態を明らかにしようとする今までにない試みです。実際にCO₂吸着によって発光が変化することを明らかにしています(右下図)。本研究が達成されれば、発光を介してCO₂吸着にともなう表面欠陥の状態の変化を解明可能な新たな評価法の確立が期待できます。また、セラミックスは気体の吸着によってその発光特性を変える例はほとんどありませんが、CO₂吸収材においては、CO₂の吸着・吸収により変化する可能性があり、その応用も検討しています。
関連する知的財産論文等
- ・Mizuki Watanabe et al., Journal of the Ceramic Society of Japan, 125(6) 472-475 (2017).
アピールポイント
CO₂や気体の吸収・吸着によって変化するセラミックスの発光を明らかにするために、望ましい測定が可能となる新たな装置設計と分析手法を考えるところから研究しています。
つながりたい分野
- ・CO₂をはじめとした気体が固体へ吸着・吸収する現象の応用研究に興味のある個人や団体
- ・CO₂インジケーターやセンサーに興味のある個人や団体
お問い合わせは新潟大学社会連携推進機構ワンストップカウンターまで
onestop@adm.niigata-u.ac.jp