新潟大学 社会連携推進機構

ナノテクノロジー・材料
2025.05.15

水を利用するナノセラミックスの低温合成法

工学部 化学システム工学プログラム 無機工業化学研究室
戸田 健司
戸田 健司
TODA Kenji
自然科学系 教授
専門分野
無機化学合成、蛍光体、リチウムイオン二次電池、無機顔料、光触媒
キーワード
ナノ粒子、機能性セラミックス、低温反応、水、高結晶性
関連URL
http://mukiken.eng.niigata-u.ac.jp/

研究の目的、概要、期待される効果

 一般的なセラミックスの合成法として合成プロセスが非常に簡便で、かつ低コストである固相法が用いられています。固相法は一般的に1000℃以上の高温処理を要することから高温焼成による粒子成長が避けられず、ナノ粒子の合成には適していません。そのため、ナノセラミックスの合成には、低温での合成が可能な溶液法が用いられることが多いです。溶液法では溶媒に可溶な原料、また生成物に対して相対的に多量の溶媒を用いなければならないことから、目的物を得るまでに分離や乾燥等の多くの操作を行う必要があり、製造コストの増大が避けられません。
 当研究室では、新規に開発したWater- Assisted Solid-State Reaction (WASSR)法を用い、Li₂SiO₃、LiCoO₂、BiVO₄やBaTiO₃などの実用性の高い機能性セラミックス材料の合成に成功しています。WASSR法は、混合した原料に微量の水を添加し、220℃以下(多くの場合には室温から100℃以下)で反応させるセラミックス合成法です。蛍光体や電池用材料、光触媒など多岐に渡る材料の合成に成功しており、その総数は150種類を超えています。合成時に高温を要せず、溶液合成のような可溶な原料を必要としないため、合成コストを格段に抑えることができます。

関連する知的財産論文等

  • ・Determination of the crystal structure and photoluminescence properties of NaEu1−xGdx(MoO4)2 phosphor synthesized by a water-assisted low-temperature synthesis technique, RSC Advances 7(40):25089-25094 (2017)

アピールポイント

既存の合成法と置き換えることで、製造コストの大幅な削減が見込まれます。得られたセラミックスは高い結晶性を持つことから、実用セラミックスの合成法として有望です。

つながりたい分野

  • ・無機材料を扱うメーカー
  • ・ナノ材料を扱うメーカー
  • ・有機物や金属とのナノコンポジットに興味のあるメーカー

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onestop@adm.niigata-u.ac.jp
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