
ナノテクノロジー・材料
2025.05.15
マイクロカンチレバー構造を用いたメカニカルセンシング
~ 触覚センサ・タンパク質バイオセンサ ~
工学部 機械システム工学プログラム
マイクロマシン工学研究室

寒川 雅之
SOHGAWA Masayuki
自然科学系 准教授
- 専門分野
- センサ・マイクロマシン
- キーワード
- MEMS、触覚センサ、表面マイクロマシニング、マイクロカンチレバー、バイオセンサ
研究の目的、概要、期待される効果
様々なセンサに応用が期待できる微小構造(マイクロカンチレバー)の作製を、MEMS技術を用いて行っています。マイクロカンチレバーは一端が固定された構造で、力の印加や物質の堆積によりたわみが生じます。このたわみ変化を、その上に一体形成したひずみゲージ抵抗変化や圧電効果により電気的に検知します。大きさは0.03mm~1mm程度が可能です。
このような構造は一般的に基板を貫通加工して作製しますが、私たちは表面のみの加工(表面マイクロマシニング)で行っており、より作製プロセスが簡便で低コストです。また、薄膜応力制御による立体形状制御が可能で、表面の絶縁コーティング・機能性物質の付加を行ったり、樹脂で構造を封止したりすることができ、さまざまな用途に対応できます。
応用例として、マイクロカンチレバーを樹脂で封止したマイクロ触覚センサチップ(別頁参照)や、マイクロカンチレバーの上に、細胞膜と同様の人工の脂質膜(リポソーム)を固定化したバイオセンサチップの研究を行っています。このバイオセンサでは、一般的な顕微鏡を用いたタンパク質検出手法と異なり、蛍光標識や光学系が不要で、簡便化・小型化・低コスト化が期待できます。
関連する知的財産論文等
- ・R. Kobayashi, M. Sohgawa, M. Noda, et al.: IEEE Sens. J. , Vol.23, No.12, pp.12495-12502 (2023).
- ・R. Kaneta, M. Sohgawa, et al. : J. Robt. Machatron., Vol.34, No.3, pp.677-682 (2022).
- ・H. Hosokawa, M. Sohgawa, et al., IEEJ Trans. Elec., Electron., Eng., Vol.19, No.5, pp.888-893 (2024)
アピールポイント
マイクロカンチレバーのサイズや形状、数、配置などの設計は用途に応じて様々に対応可能です。作製は研究室の設備で可能ですので、安価に研究開発を行うことができます。
つながりたい分野
- ・微小な荷重・変位の計測や、機能性物質の付加による化学的・生物学的な検知が可能ですので、製造分野から医療分野まで幅広く協働を期待します。
お問い合わせは新潟大学社会連携推進機構ワンストップカウンターまで
onestop@adm.niigata-u.ac.jp