新潟大学 社会連携推進機構

環境・エネルギー
2025.05.16

陸域生態系の温室効果ガス動態を解明

~ 温暖化予測モデルの不確実性低減 ~
農学部 フィールド科学人材育成プログラム 陸域環境動態研究室
永野 博彦
永野 博彦
NAGANO Hirohiko
自然科学系 助教/研究准教授
専門分野
生物地球化学、環境動態解析、陸域生態系、温室効果ガス動態、土壌学
キーワード
呼吸、光合成、土壌微生物、植生、有機物分解、メタン、亜酸化窒素、同位体分析、人工衛星、広域評価
関連URL
https://sites.google.com/view/hirohikonaganohp

研究の目的、概要、期待される効果

 一般社会ではほとんど意識されませんが、陸域生態系の植物や土壌微生物の呼吸から放出される二酸化炭素(CO2)の量は化石燃料燃焼由来のCO2放出量の約10倍に匹敵するといわれています(図1)。また、同じく10倍量のCO2が陸域生態系に棲む植物の光合成によって吸収されており、その結果、陸域生態系ではCO2収支がほぼ釣り合っています。しかし、地球温暖化に伴う気温の上昇や極端気象の増加、また人為的な土地利用変化は陸域生態系におけるCO2放出や吸収、さらには強力な微量温室効果ガスであるメタンや亜酸化窒素の生物的生成・消失に大きく影響します。陸域生態系の温室効果ガス動態の環境変化に対する応答には未だ謎が多く、地球温暖化の将来予測モデルに大きな不確実性をもたらしています。その結果、効果的な温暖化抑制策や適応策の実行は困難になっています。当研究室は、新潟大学では唯一の温室効果ガス動態研究チームとして、様々な分析・観測・解析手法を駆使し陸域生態系の温室効果ガス動態に挑んでいます(図2)。国内外の研究者とも連携しながら、世界的な環境課題となっている気候変動問題に挑み、予測モデルの不確実性低減とSDGs達成貢献を目指しています。

関連する知的財産論文等

  • ・Suzuki, Nagano et al., 2025: Comprehensive increase in CO2 release by drying–rewetting cycles among Japanese forests and pastureland soils and exploring predictors of increasing magnitude, SOIL, 11, 35–49.
  • ・Nagano et al., 2023. Stable C and N isotope abundances in water-extractable organic matter from air-dried soils as potential indices of microbially utilized organic matter. Front. For. Glob. Chang. 6, 1228053.
  • ・Nagano et al., 2022. Contrasting 20-year trends in NDVI at two Siberian larch forests with and without multiyear waterlogging-induced disturbances. Environ. Res. Lett., 17, 025003. など多数(上記関連URLから詳細閲覧可)

アピールポイント

私たちは新潟県内でもほぼ唯一の温室効果ガ ス動態研究の専門家集団です。DNAから人工衛 星まで様々な手法を駆使して謎に挑んでいます。 気になっている生態系などあれば相談ください。

つながりたい分野

  • ・農耕地、森林、湿原、その他各種用地など陸域生態系の温室効果ガス動態が気になっており、その科学的解明を通じた事業の推進・目標達成を実現したいと考えている企業、自治体、団体。

お問い合わせは新潟大学社会連携推進機構ワンストップカウンターまで

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