
環境・エネルギー
2025.05.16
植物天然高分子からのファインケミカルの創製
農学部 応用生命科学プログラム
木質バイオマス研究室

三亀 啓吾
MIKAME Keigo
自然科学系 准教授
研究の目的、概要、期待される効果
光合成により生成する植物成分は、植物体内でさまざまな機能を果たしているだけでなく、植物枯死後も、土壌中にそのフィールドを移し、微生物等によりゆっくりと分解・構造変化し、新しい機能を獲得し、最終的にはCO2に分解され、循環しています。この植物成分の生態系における流れを参考に、植物成分の有効利用を研究しています。
植物成分生分解の基本は酸化分解です。生物的および化学的に分解し、機能性食品、化粧品原料、医薬品などのファインケミカルとして利用し、バイオマスの高付加価値化を目指しています。
特に、地球上に最も豊富に存在する天然芳香族化合物である”リグニン“の植物体内及び土壌中での機能を参考にして、リグニンからカテキン以上の生理活性を持つリグニン分解物をリグニンのアルドール縮合促進酸化分解や多価フェノール化リグニンのアルカリ分解により高収率で生産できる方法を確立し、それらの応用研究を進めています。最近では、土壌中におけるリグニンの構造を解析し、その構造を模倣した人工腐植の開発を行い、その植物成長促進効果を調べています。
関連する知的財産論文等
- ・紫外線吸収剤(特許5586644)
- ・Mikame, K., K. Watanabe, T. Watanabe, M. Funaoka, Molecular design for physiologically active compounds from lignin by oxidative degradation, Trans. Materials Research Society, 46, 29-32 (2021)
アピールポイント
リグニンの高付加価値用途開発は、セルロースを含めたコスト面で進展していない未利用森林資源の利活用が可能になり、地球温暖化対策へ寄与できます。
つながりたい分野
- ・環境を意識したモノづくり
- ・天然物由来ファインケミカル
- ・人工腐植
お問い合わせは新潟大学社会連携推進機構ワンストップカウンターまで
onestop@adm.niigata-u.ac.jp