新潟大学 社会連携推進機構

環境・エネルギー
2025.05.16

分光測定による溶存化学種解析

~ MCR-ALS解析 ~
理学部 化学プログラム  溶液化学研究室
梅林 泰宏
梅林 泰宏
UMEBAYASHI Yasuhiro
自然科学系 教授
専門分野
溶液化学、分析化学、電気化学
キーワード
混合物、分光分析、多変量解析、スペシエーション

研究の目的、概要、期待される効果

 固体や液体試料における混合成分の分別定量や化学種のスペシエーションには多変量解析が有用です。混合物のスペクトルの溶存化学種解析には、 MCR-ALS (多変数カーブ分離—交互最小自乗)解析が用いられます。 MCR-ALS解析は、プログラミングおよび数値計算プラットフォームMATLAB ® で実行可能な形式で配布されています。

 ここではラマンスペクトルのMCR-ALS解析について紹介いたします。
MCR-ALS解析では、濃度依存性や温度依存性などの一連のスペクトルから系に含まれる成分数を推定し、系に存在する化学種のラマン散乱因子と生成分布を決定します。ここで求められたラマン散乱因子と生成分率は、必ずしも物理的に正しいとは限らないため、Evolving Factor Analysis(進化する因子分析) によりラマン散乱因子と生成分布の初期値が決められます。スペクトルは、ラマン散乱因子と生成分率の積で表すことができ、適当な制約条件のもと、これらの行列を交互に線形最小自乗法で求め、最終的に、溶液中に存在する化学種の、それぞれラマン散乱因子と生成分布を得ます。

関連する知的財産論文等

  • [1]Watanabe et al., J. Phys. Chem. B, 2021, 125, 7477−7484
  • [2]Arai et al., J. Phys. Chem. Lett., 2020, 11, 4517−4523

アピールポイント

MCR-ALS解析はラマンスペクトルだけでなく、NMRやX線回折スペクトルにも用いることができ、混合物の分別定量やスペシエーションに役立ちます。

つながりたい分野

  • ・混合物の分別定量やスペシエーションを目的としている方

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