新潟大学 社会連携推進機構

農・食・バイオ
2025.05.16

イネのデンプン代謝制御研究

~ 新品種開発・バイオスティミュラント開発へ ~
社会連携推進機構 三ツ井研究室
三ツ井 敏明
三ツ井 敏明
MITSUI Toshiaki
社会連携推進機構 特任教授
専門分野
応用分子細胞生物学、植物生化学、環境農学
キーワード
イネ、αーアミラーゼ、デンプン代謝制御、新品種開発、バイオスティミュラント
関連URL
http://researchers.adm.niigata-u.ac.jp/html/393_ja.html https://www.agr.niigata-u.ac.jp/~nkariwa

研究の目的、概要、期待される効果

 コメは、イネの完熟種子から籾を外したもので、主に胚乳という組織と、胚盤(胚芽)から構成されています。このうち胚乳は白米に相当する部分で、大量のデンプンが含まれています。イネの種子の発芽には、この胚乳に蓄えられたデンプンを分解し、発芽の際のエネルギーにする必要があります。一方で、イネの登熟には、胚乳におけるデンプンの蓄積が重要なポイントとなります。このようにデンプンの代謝のメカニズムの解明は、イネの健全な成長とともに、コメの品質を維持・向上するうえで極めて重要な課題です。
 地球温暖化による夏季の猛暑はイネの高温登熟障害を引き起こし、コメの品質低下が農業現場で大きな問題になっています。これまで、イネにおけるデンプン代謝制御の研究を、生理・生化学的、および分子細胞生物学的手法を駆使して進め、デンプン分解酵素αーアミラーゼが分泌経路からプラスチドに輸送・局在化し、機能することを明らかにしました。この研究から、高温登熟によるコメ品質低下にαーアミラーゼが関与するという仮説が生まれ、そして検証しました(左図) 。現在、酒米も含め、高温をはじめとする環境ストレス耐性を有するイネ新品種の開発(右図)、並びに、ストレス耐性を付与するバイオスティミュラントの開発を行っています。

関連する知的財産論文等

  • ・コシヒカリ新潟大学NU1号(品種登録番号:第27856号 登録日 令和2年3月9日)
  • ・植物に環境ストレス耐性を付与する方法(特許7319671号 登録日 令和5年7月25日)
  • ・Plant Cell 2009, 21: 2844–58, doi:10.1105/tpc.109.068288.

アピールポイント

迅速な世代促進技術を駆使して、イネの新品種開発を進めるとともに、栽培技術、特に作物の有する能力を引き出すバイオスティミュラントを開発し、地域農業の振興に貢献します。

つながりたい分野

  • ・新潟のコメ(特に、コシヒカリ、酒米等)に関係する産学官のすべての分野

お問い合わせは新潟大学社会連携推進機構ワンストップカウンターまで

onestop@adm.niigata-u.ac.jp
Contact
新潟大学 産学連携協力会
新潟大学