
農・食・バイオ
2025.05.16
光による農産物・食品の非破壊センシング
~ 生産から収穫・選別・貯蔵・加工まで ~
農学部 流域環境学プログラム
バイオセンシング工学研究室

斎藤 嘉人
SAITO Yoshito
自然科学系 助教
- 専門分野
- ポストハーベスト、非破壊品質評価、農業情報工学、分光法、画像解析
- キーワード
- 非破壊品質評価、大豆、豆腐、近赤外分光法、蛍光分光法、静的光散乱法、ケモメトリクス、ポストハーベスト
研究の目的、概要、期待される効果
世界全体の作物生産可能量のうち実際に消費されるのは約半分量であり、生産から消費までの各段階での食料ロスを最小化する技術開発が切望されています。特に収穫後のロス削減のためには、微小キズを有する生産物の選別・分離による腐敗の最小化や、貯蔵・流通中の鮮度計測による食品ロスの削減、さらには食品加工時における精密品質計測による製造中ロスの削減が主要な対応策となります。
上記を実現するため、当研究室では農作物や食品の品質を破壊せずに測る“非破壊計測”に取り組んでいます。近赤外分光法や蛍光分光法、光散乱法といった光学的手法に画像解析や機械学習を組み合わせ、農業や食品産業で活用できる光センシングの研究事例を数多く報告しています。
右の研究成果例に示したように、蛍光スペクトルを用いた大豆イソフラボン含有量の推定(図1)や、光散乱を用いた豆腐の硬さの非破壊評価(図2)、近赤外反射画像と深層学習を組合せたバレイショの外部欠陥分類(図3)に成功しています。これら以外にも、茶、アボカド、柑橘類、イチゴ、ミニトマト、オリーブオイル、ピーマンなどの農作物や、魚・牛肉等の畜産物、土壌やスギ等の非食品類も研究実績を公開しています。
関連する知的財産論文等
- ・豆含有イソフラボン量の推定方法、及び豆含有イソフラボン量推定装置(特願2023-140758,図1)
- ・Y. Saito et al., Infrared Physics & Technology, 123, 104149, 2022(図2)
- ・斎藤嘉人ほか,農業食料工学会誌, 83(3), 208-217, 2021(図3)
アピールポイント
農作物や食品では、対象物によってユニークな光学特性が得られます。食品検査の自動化や製品開発の高速化、欠陥検出、育種作業の簡便化など、様々な場面への応用が可能です。
つながりたい分野
- ・食品業界:製造ラインや製品開発における非破壊・非接触計測を目指した共同研究。
- ・ハードウェア開発:小型センサーモジュールの開発を得意とする企業との協業。
お問い合わせは新潟大学社会連携推進機構ワンストップカウンターまで
onestop@adm.niigata-u.ac.jp