新潟大学 社会連携推進機構

農・食・バイオ
2025.05.16

イネの成長を促進させるきのこ菌床由来の成分の利用

農学部 応用生命科学プログラム 生物化学研究室
伊藤 紀美子
伊藤 紀美子
ITOH Kimiko
自然科学系 教授
専門分野
植物分子生物学、応用糖質科学
キーワード
農食バイオ、きのこ菌床、揮発性成分、植物成長促進作用
関連URL
https://www.agr.niigata-u.ac.jp/teachers/257

研究の目的、概要、期待される効果

 細菌や真菌が発生する揮発成分が植物のバイオマス増大やストレス耐性を強化させる事が知られています。このような成分は新たなバイオスティミュラント資源として非常に有望です。
 一方で、細菌や真菌の大量増殖系の確立、また利用する細菌や真菌が土壌や作物、取り扱う人に及ぼす影響を考えたときに、新たな菌を用いてゼロから増殖系を確立し、これらの影響を検証していくことは非常にハードルが高いと言えます。

 食品生産に利用されるきのこ菌床は確立した菌の増殖系である上に、揮発成分も豊富であり、安全に取り扱える優れたバイオスティミュラント素材になり得るのではないかと考えました。  
 そこで、市販のえのき・しいたけ菌床を用いてイネの幼苗を非接触共存培養したところ、主に地上部において乾燥重量の増大が観察されました。(図1)その後、廃菌床についても効果が確認され、水稲栽培への適用では、2023年の酷暑下でも収量を増加させることがわかりました(図2)。
 新潟県ではきのこ栽培も水稲栽培も盛んであり、廃菌床がバイオスティミュラント源として利用できれば高温被害対策の可能な農業資材として低コストに導入が可能ではないかと期待されます。

関連する知的財産論文等

  • ・特願2024-024302/出願人 新潟大学/発明者 伊藤 紀美子, カンガ クレバー ンコクウェ/発明の名称 植物栽培方法及び植物栽培用菌床 出願日 2024月2月21日
  • ・バイオスティミュラントの開発動向と展望 CMC出版 バイオスティミュラント協議会 第24章 236-242頁

アピールポイント

イネを対象に様々な分子生物学的研究を行っています。

つながりたい分野

  • ・きのこ研究者・生産企業・生産者
  • ・イネや他の作物栽培をされている農家様

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