
農・食・バイオ
2025.05.16
動物の発生過程における体の作りかえの分子機構
理学部 生物学プログラム
井筒研究室

井筒 ゆみ
IZUTSU Yumi
自然科学系 教授
- 専門分野
- 発生生物学、免疫学、分子生物学、生化学、生体機能学
- キーワード
- 遺伝子発現、ツメガエル、アポトーシス、T細胞
研究の目的、概要、期待される効果
アフリカツメガエルの発生過程では、体の半分をも占める尾が消失します(図1)。おたまじゃくしがカエルになる際に尾が消失することは、子供の頃から誰でも知っている事ですが、このような現象はカエルにだけ見られることではありません。全ての脊椎動物は、個体発生の際に魚の様な幼生体から四肢を持つ成体へと体の作りかえ(リモデリング)をします(図2)。私たちの研究の目的は動物の体の作りかえの分子機構を明らかにしていくことです。それによって、動物の器官発生のメカニズムを理解出来ると考えています。正常でないことが起こること、すなわち病的変異の原因を探る上でも私たちの研究は基盤になると考えています。
私たちは尾の細胞で作られ、成体の免疫T細胞から認識されるタンパク質をコードする新規の遺伝子を見つけました。オウロボロスと名付け、当該遺伝子を狙った時期と場所にピンポイントに発現上昇、あるいは抑制させることができる組換え動物F4〜F5世代を系統維持しています。発生過程で必要な細胞を『自己』不要な細胞を『非自己』として、獲得免疫系が自らの体を要・不要(イチorゼロ)で判断し、トリミングをしていると考え、新たな形態形成のメカニズムを証明しようと研究をしています。
関連する知的財産論文等
- ・Mukaigasa K.....& Izutsu Y, Proc. Natl. Acad. Sci. U S A., 106: 18309-18314 (2009). DOI: 10.1073/pnas.0708837106
- ・Session AM et al., Nature, 538: 336-343 (2016). DOI: 10.1038/nature19840
アピールポイント
当研究室ではJ系統という完全にMHC(主要組織適合性複合体)が同一な世界で唯一の近交系両生類を系統維持しています。アフリカツメガエルの全ゲノム解読に使われました。
つながりたい分野
- ・再生/組織再構成の三次元的なシミュレーション解析や細胞イメージング解析をされている生体工学系、医学系の方と連携できます。細胞の蛍光標識/染色の技術提供も可能です。
お問い合わせは新潟大学社会連携推進機構ワンストップカウンターまで
onestop@adm.niigata-u.ac.jp