
医療・健康・福祉
2025.04.23
超長寿昆虫に特異な生体分子の探索と機能解析
〜 シロアリの王と女王から寿命研究の未踏領域を切り拓く 〜
理学部 生物学プログラム
生体分子解析学研究室

田﨑 英祐
TASAKI Eisuke
自然科学系 助教
- 専門分野
- 分子生物学、機能生物化学、昆虫科学
- キーワード
- 老化、社会性昆虫、酸化ストレス、抗酸化、寿命、代謝
研究の目的、概要、期待される効果
どうすれば長寿を実現できるだろうか?このシンプルな問いは、どの時代においても人々に強い関心を抱かせてきました。世の中には圧倒的な長寿を実現する生物が存在しています。繁殖分業の進化を遂げた社会性昆虫のシロアリには、強力な⻑寿化選択の結果、王と女王の寿命が数十年以上にもなった種が存在します。シロアリの王と女王は、生物一般に観察される繁殖と寿命のトレードオフを打破しており、巣の中で「最も繁殖活動を行う個体でありながら、最も⻑生き」です。我々は、他に類を見ない彼らの「活動的長寿」を実現する分子基盤の解明に向けた研究を進めており、究極的には生物の寿命や老化の仕組みについて理解することを目指しています。
具体的には、生物の長寿化をもたらす生体分子およびその機能を特定するため、シロアリの王と女王を材料にモデル生物であるキイロショウジョウバエや培養細胞などの評価系を用いた分子機能解析をおこなっています。また、代謝活動は生物寿命と密接に関わっています。我々は、シロアリの真社会性に着目し、彼らのエネルギー代謝システム(特に、中心炭素代謝)を集団レベル・個体レベルで解析することで、生物に長寿化をもたらす代謝システムの実態解明に取り組んでいます。
関連する知的財産論文等
- ・E. Tasaki et al., Why and how do termite kings and queens live so long? Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci 376(1823): 20190740, 2021.
- ・E. Tasaki et al., An efficient antioxidant system in a long-lived termite queen. PLoS One 12(1): e0167412, 2017.
アピールポイント
我々は、研究対象として魅力的であるにも関わらずサンプリングが極めて困難であるとされてきた「シロアリの王と女王」を野外から採集し、分子レベルの研究を行うことができます。
つながりたい分野
- ・社会性昆虫(シロアリ)に関わる研究分野
- ・生体分子の機能解析に関わる研究分野
- ・メタボロームやトランスクリプトームなどのオミクス研究分野
お問い合わせは新潟大学社会連携推進機構ワンストップカウンターまで
onestop@adm.niigata-u.ac.jp