
医療・健康・福祉
2025.04.23
疾患関連タンパク質を認識可能な分子モダリティの開発
~ 「化学」の視点からの創薬・検査薬開発 ~
理学部 化学プログラム
中馬研究室(生物化学)

中馬 吉郎
CHUMAN Yoshiro
自然科学系 教授
- 専門分野
- 腫瘍診断、治療学、機能生物化学、生物分子化学、ケミカルバイオロジー
- キーワード
- がん、創薬、神経疾患、刺激応答性、核酸アプタマー
研究の目的、概要、期待される効果
抗体を薬剤として用いる抗体医薬は、標的に対して高い特異性と選択性を持ち、副作用が少ないなどの利点がある一方、「細胞膜を透過できず、疾患タンパク質の多くを占める細胞内タンパク質には適用できない」という大きな壁が存在しています。また、抗体医薬は高額な治療費や新規抗体医薬の枯渇などが課題となっており、「新規創薬プラットホーム」の開発が強く望まれています(図1)。
我々は、イオンなどの外部刺激により標的に対する結合能・機能制御が可能な刺激応答性DNAアプタマーライブラリ(IRDAptamerライブラリ)を独自開発しています。これまでに本ライブラリから発がんタンパク質認識分子の同定に成功するとともに、本分子が、外部刺激によりその抗がん活性をON/OFF制御できること、細胞膜透過能を有し、がん細胞の増殖抑制効果を示すことを確認しています(図2)。
我々が独自開発したIRDAptamerライブラリは、100億を超える多様性を持ち、各標的に対して固有の結合分子を単離することが可能であるため、がんのみならず様々な疾患に対して応用可能な「刺激応答性新規創薬モダリティ」として幅広い応用が期待されています。
関連する知的財産論文等
- ・核酸アプタマー及びその使用(特許第7255852号)
- ・核酸アプタマー(特許第7477886号)(PCT国際出願:PCT/JP2020/020119)
- ・Kaneko, A., Chuman, Y. et al, Catalysts, 10(10), 1153, (2020)
アピールポイント
IRDAptamerライブラリは、多様な標的に対する結合分子の探索が可能であることから、創薬だけでなく、「バイオセンサー」や「分子保持剤」など幅広い応用が可能です。
つながりたい分野
- ・製薬業界、検査薬業界、ヘルスケア業界、食品業界
- ・有効な治療薬が存在せず、新規創薬研究を一緒にチャレンジしていただける方々
お問い合わせは新潟大学社会連携推進機構ワンストップカウンターまで
onestop@adm.niigata-u.ac.jp