新潟県では様々な農産物が全国的に高い水準で生産されていますが、若者の農業離れや高齢化によって農村地域の衰退は深刻化しており、持続可能な農業の実現に向けた対策が喫緊の課題です。また、新潟県の高齢化率は33.4％（令和3年）で全国平均より4.3ポイント高く、健康寿命の延伸と医療費削減に対する課題もあります。高齢者の生活の質（QOL）は、骨折による寝たきりやひとり暮らしによるうつ病によって劇的に低下することが知られています。これらの慢性的な疾患への対応は、食生活の工夫により日常生活に根ざした方法で行うことが望ましいと考えます。
　これらの課題を解決するために、新潟県産農産物の健康機能性を明らかにし、特に高齢者の骨粗鬆症予防と精神的うつ予防効果に焦点を当てた、高齢者のためのQOL向上機能性食品の開発を目的として研究を遂行しています。
　新潟県の代表的農産物として、ナス、枝豆、柿、食用菊が挙げられます。これらに含まれる有効成分の系統的な分析を行い、高齢者が日常的、且つ、効率的に摂取できる食品への加工法を検討し、高齢者のためのQOL向上機能性食品を開発することができれば、県内の食農産業と農村地域の活性化、高齢者医療費の削減に繋がります。

様々な農産物や食品素材について、食品科学、食品機能学的解析を行い、科学的エビデンスに基づいた機能性食品の開発が可能です。農業と食品産業の融合と発展をめざします。