「大学見本市2025~イノベーション・ジャパン」に出展しました。

「大学見本市 イノベーション・ジャパン」は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が主催している、国内最大規模の産学連携マッチングイベントです。
本学から3件のシーズ紹介と1件のピッチプレゼンを行いました。多くの方に訪れていただき、熱心な質疑応答が交わされました。
本学の出展内容
<カーボンニュートラル・環境>
テーマ:植物天然高分子からのファインケミカル及び人工腐植の創製
新潟大学 自然科学系(農学部)三亀 啓吾 准教授

当研究室ではこれまで相分離変換法による様々な植物のリグニン構造解析を行っており、その情報を踏まえ、植物成分の生態系における流れをmimic(まね)し、植物天然高分子を生物・化学的に分解、リグニンのフェノール性水酸基量、その配置バターンと分子量を任意に制御できる方法を確立し、抗酸化活性や酵素阻害活性などのリグニン由来生理活性物質を作製しています。
天然リグニン分解ポリフェノールは、フラボノイドなどのポリフェノールにはない生理活性を有する可能性があります。そして、数千から数万の分子量を持ちながら様々な生理活性を示すことから、ポリフェノールの欠点の一つである安定性が大幅に向上します。また、高分子タイプは皮膚吸収性が低く表面で持続的に機能することも期待できます。
<健康・医療>
テーマ:生きたまま脳内まる見え!頭蓋骨透明化技術
新潟大学 脳研究所 田井中 一貴 教授

「SeeThrough」は、独自開発のハイブリッド透明化試薬により頭蓋骨の屈折率を生体適合的に1.56へ調整し、骨の除去なしで開頭手術と同等の高解像度二光子イメージングを実現します。本手技は短時間・低侵襲で再石灰化の影響を受けず、広視野かつ長期にわたる観察が可能です。さらに、脳の境界領域を保持できるため脳内排泄機構の解明に寄与し、睡眠研究や老化研究における創薬を加速します。既存の水溶性透明化法を上回る透明度と安全性を両立しつつ、市販試薬のみで構成できるため導入コストも大幅に削減できます。
頭蓋骨を薬剤で透明化する「SeeThrough」技術は、脳を生体内で長期観察できる画期的手法です。創薬では薬効評価の高速化、認知症研究では病変進行の経時解析、睡眠研究では睡眠中の脳活動可視化、神経免疫研究では免疫反応のライブ追跡を可能にし、それぞれ学術研究の加速と産業応用による製品開発の効率化に寄与します。
<健康・医療>
テーマ:ヒト神経成長のマーカー抗体の確立
新潟大学 脳研究所 岡田 正康 特任准教授

本発明は、ヒトを含む霊長類の神経の発生、再生の評価に用いる抗GAP43抗体と当該抗体の製造方法及びこれらを用いた神経軸索や成長円錐を特異的に検出・解析する方法に関するものです。本抗体は、従来の抗GAP43抗体では区別できない成体の定常神経と成長神経を区別でき、また齧歯類に反応しないヒトを含む霊長類のリン酸化GAP43を検出する抗GAP43抗体である点で、ヒト用の研究試薬及び体外診断用医薬品の基礎技術として極めて優位です。
ヒトを含む霊長類での神経再生や成長マーカー抗体として神経研究に活用できる抗体です。例えば、齧歯類の神経には反応しない抗体であるため、ヒトiPS細胞由来神経を齧歯類に移植した実験で、ヒト神経のみを確認することができます。またヒトiPS細胞から神経分化した培養系で神経がよく育つ薬剤を同定できるDrug screening試薬としての応用可能性を秘めています。
- 発表内容の推しポイントを新潟大学社会連携推進機構noteでも紹介しています。